「つながる歴史」を紡ぐことで事件の全貌を解明
1914年4月、日本船籍の「駒形丸」が香港を出港した。この船をチャーターしたのはグルディット・シンというインド人ビジネスマンで、香港から北米への移民希望者を移送する事業を企てた。途中、上海と門司と横浜で乗客を増やし、合計376人のインド人がカナダを目指した。同年5月末にバンクーバーに到着したものの、約2か月間、接岸を許されず、わずかな許可者を除いて上陸が認められなかった。船は太平洋上を引き返し、日本とシンガポールを経由してコルカタ(旧カルカッタ)に到着。ここで乗客の大半が逮捕され、多くの死傷者を出すに至った。このインド人移民排斥事件が「駒形丸事件」である。
駒形丸事件はトランスナショナルな事件であり、従来のカナダ史、インド史、日本史という枠組みでは事件の本質に迫ることができなかった。本書は「インド太平洋世界」をめぐるグローバルヒストリーの手法を使い、「つながる歴史」を紡ぐことで、事件の全貌を解明しようとする。
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source : 文藝春秋 2021年4月号