2018年10月下旬の安倍晋三首相の訪中によって、日中関係はようやく正常化に向かった。
安倍首相は習近平主席との会談の中で日中関係を「競争から協調へ」向かわせ「新たな時代を習主席とともに切り開いていきたい」と語った。
ただ、これは、2006年に安倍首相が胡錦濤政権と合意した「戦略的互恵関係」とは違う。より端的に言えば、「マイナスからゼロ」に戻したということに過ぎない。
日中正常化を促した要因は何なのか。
トランプ・ファクターが大きいことは確かである。
去る4月末、李克強訪日を前に、中国のシンクタンクの代表団が来日した際、私どものシンクタンクAPI(アジア・パシフィック・イニシアティブ)が、日本の中国専門家との意見交換会を主催した。その際、中国側の代表が「トランプの貿易政策は自由貿易を破壊する恐れが強い。米国はリスクとなってきた。ここは保険をかけないと危ない。日中で一緒に保険をかけましょう」と主張した。
TPP脱退から始まり、鉄鋼・アルミに対する通商拡大法232条(安全保障条項)の適用、さらには自動車・自動車部品に対する同条項の適用をもちらつかせて日米FTA(自由貿易協定)交渉を強いるトランプ政権は、日本にとっても大きなリスクであることは間違いない。
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source : 文藝春秋 2018年12月号