小沢昭一 冗談でもズシンと響く

100周年記念企画「100年の100人」

大沢 悠里 フリーアナウンサー
エンタメ 芸能 テレビ・ラジオ
芸能文化の語り部として多くの人を魅了した小沢昭一(1929~2012)。その軽妙な話芸を、アナウンサーの大沢悠里氏が振り返る。
大沢悠里(語り手)
 
大沢氏

 昭和48年に始まったラジオ番組「小沢昭一の小沢昭一的こころ」は、小沢さんが亡くなる平成24年12月まで続き、通算放送回数は1万回を超えました。途中からは私の番組(「大沢悠里のゆうゆうワイド」)に内包される形になり、私は毎日スタジオで聴くことができました。勉強になるので、メモを取りながら聴いていたものです。

 役者小沢昭一は、大衆芸能と遊び文化の類まれなる語り部でした。庶民の生活の中の忘れ去られそうな芸能や風俗を拾い集めては極めていく——。江戸から連綿と続く庶民文化を語れる人は、もういませんね。

小沢昭一
 
小沢昭一

 小沢さんの話には、若い頃から寄席や芝居に通って身に付けた緩急の「間」があります。しかも、どんなテーマでも徹底的に調べ上げて話すから、艶話でも生々しくならない。

 面白いことを語りながら、自身の戦争体験に根差した反戦への思いも忘れなかった。ただ、真面目な話を真面目に訴えることはしない。冗談の中で、聴く者が笑えるように、それでいて心にズシンと響く話をする。これこそ話術の真髄。真似できるものではないのです。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!

初回登録は初月300円

月額プラン

初回登録は初月300円・1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

18,000円一括払い・1年更新

1,500円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事が読み放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年7,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 塩野七生・藤原正彦…「名物連載」も一気に読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2022年1月号

genre : エンタメ 芸能 テレビ・ラジオ