◆ウクライナからの“緊急寄稿”
文藝春秋digitalは、3月22日(火)19時〜、ジャーナリストの名越健郎さんと日本経済新聞編集委員の高坂哲郎さん、在ウクライナジャーナリストの古川英治さん(予定)によるオンライン対談イベント(司会・西本幸恒)「プーチンと習近平の『新ヤルタ体制』」を開催しました。
《フル動画はこのページ下部にあります》
最新号の「文藝春秋」4月号に、古川英治さんによる「プーチンと習近平の『新ヤルタ体制』」が掲載されました。
国際世論の猛反発を無視してウクライナ侵攻という暴挙に出たロシアのプーチン大統領。いったい、なぜプーチン大統領は欧米諸国をはじめ国際世論を敵に回しても平気でいられるのでしょうか? 今回の戦乱の中、古川英治さんは、猛烈な空爆に晒される首都キーウ(キエフ)から「文藝春秋」に緊急寄稿しました。その中で、古川さんはウクライナ侵攻の背景に「中国とロシアの結託」という構図があることを指摘しています。
プーチン大統領は2月4日の北京五輪の開会式に合わせて訪問した北京で中国の習近平国家主席と会い、それぞれの「核心的利益」を相互に支援することで一致していました。
中ロの共同声明には、ウクライナを巡ってロシアが問題視するNATO拡大に反対することが盛り込まれており、中国は「ヨーロッパの安保についてのロシアの提案を支持する」としたのです。代わりにロシアは「1つの中国の原則」を支持し、台湾の独立に反対すると明記しました。お互いの核心的利益のために結託し、他国の領土を分割する密約を交わす――こうした現在のロシア・中国関係にそっくりな構図は、じつは第二次世界大戦の前、ヒトラーとスターリンの密約にもありました。
◆「新ヤルタ体制」とは何か
プーチンと習近平が狙う新しい世界秩序の見取り図として、古川さんは「ヤルタ2・0(新ヤルタ体制)」という言葉で、ロシアと欧米との取引関係を表現しています。ロシア、中国という強権国家に立ち向かうために、日本を含む自由・民主主義陣営はどうすべきなのでしょうか?
ジャーナリストの名越健郎さんは、ロシア最大の友好国・中国の対応に注意を向けています。ウクライナは中国にとって重要な経済的パートナーであり、中国人もおよそ1万6000人が住んでいます。王毅外相は先月19日、「ウクライナの主権・独立・領土保全」を訴えていることから、ロシアと中国とのあいだにも緊張関係があります。
日本経済新聞編集委員の高坂哲郎さんは、同紙「Global Foresight」にて今後の行方として「新東西冷戦」「第3次世界大戦」「新ロシア革命」という3つのシナリオを予測しています。最後の選択肢「新ロシア革命」では「新政権」と「プーチン旧政権勢力」の間で核の奪い合いが起き、最悪、「核を使った内戦」になってしまう危険性についても高坂さんは指摘しています。
プーチンが武力によって変更しようとしつつある国際秩序はどこへ向かうのか――長くロシアの取材を続けてきたジャーナリストによる貴重な座談会、ぜひご覧ください。当日はキーフ(キエフ)在住のジャーナリストである古川英治さんによる現地から見たウクライナ侵攻、今後の行方についても伺う予定です。
当日リアルタイムでイベントをご覧になれない方も、アーカイブ動画の配信があります。本記事の有料部分にアップしますので、何度でもご覧いただけます。
◆イベント概要
イベント名:「プーチンと習近平の『新ヤルタ体制』」
出演:名越健郎、高坂哲郎、古川英治(予定)、司会・西本幸恒
日時:3月22日(火)19時〜20時30分(予定)Zoomウェビナーを使用して開催します。完全オンラインイベントです。
◆名越 健郎(なごし・けんろう) プロフィール
…ジャーナリスト。1953年、岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒。時事通信社に入社。バンコク、モスクワ、ワシントン各支局、外信部長、仙台支社長などを経て退社。2012年から拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授。主な著書に、『北方領土はなぜ還ってこないのか』、『北方領土の謎』(以上、海竜社)、『独裁者プーチン』(文春新書)、『ジョークで読む国際政治』(新潮新書)など多数。
◆高坂 哲郎(こうさか・てつろう) プロフィール
…日本経済新聞編集委員。1966年生まれ。東京外国語大学ドイツ語学科卒。1990年、日本経済新聞社入社。国際部、政治部、証券部、ウィーン支局長、国際部次長を経て2011年編集委員。日経電子版登録会員向けにニュースレター Global Foresight を毎週水曜日に配信中。
◆古川 英治(ふるかわ・えいじ) プロフィール
…ジャーナリスト。1967年生まれ。元日本経済新聞社編集局国際部次長兼編集委員。早稲田大学卒業、ボストン大学大学院修了。1993年、日経新聞入社。商品部、経済部などを経て、モスクワ特派員。その間、イギリス政府のチーヴニング奨学生としてオックスフォード大学大学院ロシア・東欧研究科修了。世界の大統領から工作員、犯罪者まで幅広く取材。
◆問い合わせ
文藝春秋編集部
メール:mbunshun@bunshun.co.jp
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source : 文藝春秋