◆『この世界の片隅に』の完成には、なぜ6年間も時間がかかったのか。この次もかかるのか
文藝春秋digitalは、4月7日(木)20時〜、アニメーション監督の片渕須直さんをお招きして、オンラインイベント「なぜ『この世界の片隅に』をつくるのに、あんなに時間がかかったのか」を開催しました。
《フル動画はこのページ下部にあります》
片渕須直さんが監督を務め、2016年に単館公開されると、1133日間も続く異例のロングラン上映となったアニメ映画『この世界の片隅に』(原作マンガ:こうの史代)。戦時中に広島市から呉市へと嫁いだすず(声・のん)の暮らしを描く同作は、興行収入27億円越えの大ヒットとなり、第40回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞などを受賞。2019年には約40分の新規映像を加えた新作『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』も公開されました。
映画『この世界の片隅に』は、2010年の制作開始から、実際に公開となる2016年まで、6年の歳月がかかっています。一般的なアニメーション映画では1~2年が製作期間の平均とも言われるなか、異例と言える時間を要した作品です。
こうの史代さんによる原作マンガ『この世界の片隅に』は、作中に登場するすべての出来事に日付が設定され、その日その時に起きた出来事、登場人物の生活との関係などが精緻に見つめられた作品でした。
この作品のアニメ映画化にあたり、監督を務めた片渕須直さんは、それに加えて、さらなる調査を決意します。作品で描かれる時代や「広島」「呉」という場所について、文献資料と地図、そして現地をたびたび訪れ、調査を開始します。作中で描かれる空襲の日時、場所、方向、事情、その際の出来事なども特定。その後も、徹底した調査を行いました。
◆なぜこのような調査を行ったのか。アニメーションの“定説”を疑う
すべての場面を何月何日のどこで、どんな人が関わった出来事か特定して表現するという、通常のアニメーション映画にはない方法がとられた同作は、必然的に期間、費用ともに膨れ上がりました。なぜ片渕さんはそのような制作手法をとったのでしょうか?
アニメーションは実写映画とは異なり、画面に映るものはすべて「誰かが意図して描いたもの」であり、偶然の入り込む余地はありません。片渕さんは徹底した考証を行うことで、「その世界にタイムスリップして、机の上で想像しているだけでは想像のおよばない何かまでを見つけ出そうと試みるため」と語ります。
「調べること」で浮かび上がってくる、そこに暮らし、そこに生きた人々の想いに深く向き合っていく、という片渕さんならではの制作手法。
当時を知る人たちからは「あの頃の風景が目に浮かんだ」と絶賛され、若者たちからも「感動して立てなかった」「どういう感想を言えばいいかわからないけど、涙が出た」という感想があいついだ『この世界の片隅に』。
『名犬ラッシー』(監督)『魔女の宅急便』(演出補)『マイマイ新子と千年の魔法』(監督)と多くの人気作を手掛け、『枕草子』を題材にした次回作を制作中の片渕須直さんの“映画哲学”に迫ります。貴重なオンラインイベント、ぜひご覧ください。
当日リアルタイムでイベントをご覧になれない方も、アーカイブ動画の配信があります。本記事の有料部分にアップしますので、何度でもご覧いただけます。
◆イベント概要
イベント名:「なぜ『この世界の片隅に』をつくるのに、あんなに時間がかかったのか」
出演:片渕須直、薗部真一(聞き手:編集者)
日時:4月7日(木)20時〜21時30分(予定)Zoomウェビナーを使用して開催します。完全オンラインイベントです。
◆問い合わせ
文藝春秋編集部
メール:mbunshun@bunshun.co.jp
◆イベントフル動画
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