なぜ花巻から世界を目指すのか

佐々木 洋 花巻東高等学校硬式野球部監督

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大谷翔平、菊池雄星、そして佐々木麟太郎。彼らの礎を築いた監督の高校野球「進化論」

(構成・中村 計)

 7月19日、MLBのフロリダ・マーリンズから8巡目で指名を受けていたスタンフォード大学2年の佐々木麟太郎が、同球団への入団を表明した。父は、菊池雄星、大谷翔平という2人のメジャーリーガーの恩師、花巻東高校の佐々木洋監督。昨秋にNPBのソフトバンクホークスからドラフト1位指名を受けながらもメジャーを選んだ、麟太郎の前例に囚われない挑戦の背景には、佐々木監督のブレない教育方針がある。

佐々木洋監督 Ⓒ文藝春秋

 ――長男の麟太郎君の名前は、勝海舟の幼名からきているんですよね。その由来どおりに早くから海の向こうを見据え、新しい時代を切り開くような生き方をしているように映ります。そもそも彼は海外志向だったのですか。

 佐々木 いや、本人は高校3年の甲子園が終わるまでは日本のプロ野球に行くことしか考えていなかったと思います。アメリカの球団からも接触があって、驚くほどの金額を提示されていましたが、本人の心はまったく動いていませんでした。私は住宅ローンが残っているので、思わず「行きます」と声が裏返りそうになったんですけれども。

 ――いつ方向転換したのですか。

 佐々木 そのとき、私が思っていたのは自分の人生を長い目で見て欲しいということでした。たとえば日本の球団からドラフト1位で指名を受けたとしても、一瞬の喜びで終わってしまうのではと心配だったんです。そこまでセンスがあると思っていなかったので、一瞬でダメになっちゃうんじゃないかな、と。だから、私は今大事なのは「一瞬の喜びではなくて、一生の喜び」となる選択をすることなんじゃないかという話をしました。そのためにも日本地図じゃなくて、世界地図を広げてみようよ、と。本人は「何を言ってんの?」という顔をしていましたが。

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source : 文藝春秋 2026年9月号

genre : エンタメ スポーツ