世界トップ10の外食チェーン経営者が語る日本経済の処方箋(聞き手・ 大西康之)
「現在、日本の国内総生産(GDP)の7割強を、流通・サービス産業が占めています。流通・サービス産業が活性化すればGDPは上昇する。流通・サービス産業が日本経済の発展の鍵を握ると言ってもいいでしょう。
国民生活産業・消費者団体連合会(生団連)は、東日本大震災で生活物資を一番必要としていた被災者の方に届けられなかった反省から、流通・サービス産業を中心に、産業界と消費者団体が結束する形で設立された団体です。その生団連トップとして私が日々痛感しているのは、日本の諸制度が世界に立ち遅れ、熾烈なグローバル競争を勝ち抜く力に欠けているということです」
生団連の初代会長は食品スーパー大手・ライフコーポレーションの清水信次(のぶつぐ)会長兼CEO(92)。同会には現在、スーパーや外食、食品メーカーなどの企業や消費者団体など約550の企業・団体が加盟している。昨年、その二代目会長に就任したのが小川賢太郎氏(69)。「すき家」「ココス」などを展開するゼンショーホールディングスの会長兼社長である。
小川氏は、1968年に東大に入学。全共闘で革命を目指したが夢破れて中退し、港湾労働や𠮷野家の社員を経て82年にゼンショーを創業した。「世界から飢餓と貧困を撲滅する」という理念を掲げて国内外食チェーン最大手に躍進、世界の外食企業としても売上高ランキングのトップ10入りを果たしている。
――生団連は昨秋の総選挙の前にも、「財政・予算制度改革についての提言」を各党に突きつけるなど、活発に国に物申していますが、その狙いは何ですか?
「私はいまの日本に強い危機感を抱いています。世界ではいま、人材の獲得競争が加速している。情報インフラの発達により、世界中どこの国にいても誰もが等しく情報を得ることができるようになりました。世界の優秀な人材はいま、国家が提供するサービスの質を比較し、より快適な国を選ぶようになっています。しかし、日本はこのグローバル競争に完全に出遅れています。
そもそも人々の国をまたいだ往来が活発化したのは、移動手段が発達した20世紀後半のこと。その恩恵を最大限に享受したのが、アメリカでした。多くの移民を受け入れて2006年に総人口3億人を突破。1970年代と比べると、約6000万人が増加したことになります。
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source : 文藝春秋 2018年06月号