サントリーホールディングス会長の新浪剛史氏が違法薬物疑惑で電撃辞任したのは御存じの通り。それが報じられるやいなや、ハワイの高級コンドミニアムでの乱痴気騒ぎや、銀座の高級クラブでの狼藉がメディアをにぎわせた。高級好きなんだなあ……こういう人、バブルの時代には散々目にして来たけど、今もいるんだ……と思った私。リゾートのプールサイドかどこかで金髪の女を膝にのせてヤニ下がっている(死語)姿は既視感たっぷり……ああ、みっともない、と某雑誌をながめながら呆れていたら、夫が、大変だ! と言いながら、私にスマートフォンを見せた。
「なんと、この新浪さん、山田詠美さんと同じ学年だよ! 誕生日も近い!!」
え? だから? だから、どうしたんです、と憮然と聞き返す私に、追い討ちをかけたのである。
「いやあ、同じ時代を駆け抜けたんだなあ、と思うと感慨深いじゃん。そうじゃない?」
この、「そうじゃない?」というのは、私の口癖で、英語で言うところの「アム アイ ライト?(“Am I right?”)」って感じだろうか。私が間違ってるなんてあり得ないでしょ? という鼻持ちならないニュアンスを込めるのだが、これを、夫はおもしろがって、私をギャフンと言わせたい時に使うのである。
この時も、「新浪剛史氏と同じ時代を駆け抜けた妻」という新発見に我が意を得たりという感じで、ヒヒヒヒッと意地悪な笑いが止まらない。くーっ。唇を噛み締める妻。私たち夫婦は、いかにくだらないことで相手を出し抜くかに重きを置いているので、少しでも敗北感を覚えると口惜しくなり、今に見ていろ! と謎に意欲を燃やすのである。
転ばぬ先の杖ならぬ……
そんな私の臥薪嘗胆(初めて使った。大袈裟ですいません)な日々に終止符が打たれたのは、市の職員である既婚男性と複数回に及ぶラブホテル密会を報じられた、小川晶前橋市長の出現故である。いや、前から存在していたんだが、群馬県以外の人は、ほとんど知らない名前だったのではないか。
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