先の参議院選挙で、女性候補者のひとりが街頭演説の時、高い所からこう絶叫していた。
「私を皆さんのお母さんにしてください!」
え? なんで? なんのために? と一瞬の困惑の後、おかしくなっちゃった。もちろん、本物のお母さんを意味している訳ではないだろう。比喩としての「お母さん」だよね? でも、あんたは私の母じゃない! といちゃもん付けた性格の悪い女(私)もいただろう。で、考えたんだが、この「お母さん」を「ママ」に変えてみたらどうだろう。
「私を皆さんのママにしてください!」
いっきに、スナック感が増して、玉ちゃんこと玉袋筋太郎さんも拍手を送るかもしれない(スナック好きの玉ちゃんは一般社団法人全日本スナック連盟会長だとか。御本人も「スナック玉ちゃん」を開業した)。
血縁でも義理でも、関係性という一点で存在する「お母さん」は、当り前の呼び名として私の耳をすみやかに通り過ぎて行く。しかーし、わざわざ人前で親密さをアピールしていると感じさせる「お母さん」もある。たとえば、小料理屋の女主人なんかに対して、とか。何だろう、この独特の媚びた感じ。「ママ」には全然異和感がないのだが。もしかしたら、「ママ」は単なる呼称で、「お母さん」は尊称だからかもしれない。
そして、「ママ」という呼称も、ひとたび家族や飲食業界を離れて、一般名詞になる時、場合によっては、ものすごい気持悪さを醸し出す。
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