参院の「新たなドン」の一手で総裁選の行方は混沌としはじめた
「総理がこれから向き合わなければならないのは飽きとの戦いだ」
首相・安倍晋三の今後について、最近こんな言葉を発しているのは、自民党前幹事長・谷垣禎一だ。
1年半前の自転車事故以来、長らく入院生活を送っていた谷垣が昨年末、ひっそりと退院した。東京・桜新町の閑静な住宅街にある2階建ての自宅は車いす生活が続く谷垣のためにリフォームされ、段差をなくし、エレベーターも取り付けられた。昨年10月の衆院選に立候補せず、議員バッジがない一民間人だが、退院を聞きつけてやってくる議員らと、面会を重ねている。
谷垣が事故を起こしたのは2016年7月16日。SPを引き連れて皇居周辺をサイクリングしていた時のことだった。歩道から車道に降りようとした際に段差の高さを読み誤り、頭から転落。血まみれになった姿にSPは「死んでしまう」と慌てたが、命に別状はなかった。ただ、身体がまったく動かない。すぐにSPにかけた言葉は「信行に電話を」。秘書を務める実弟への伝言を託した。「『幹事長を辞任する』と総理に伝えて欲しい」。
タカ派の安倍とハト派の谷垣。思想信条がまるで違う総裁を、谷垣は幹事長として、安倍が「なんていい人なんだ」と評するほどに支え続けていた。
その谷垣が、今年の安倍について冒頭のように懸念を語り、さらには、7年8カ月間宰相の座にあった安倍の大叔父・佐藤栄作に言及して「長期政権ゆえに『ストップ・ザ・サトウ』と言われたが、今の世論も同じような空気になりかねない」とも漏らす。
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source : 文藝春秋 2018年03月号