販売店、記者、不動産経営……業界を立て直す「5つの方策」
新聞の凋落が叫ばれて久しい。
総発行部数のピークはちょうど20年前の1997年。朝刊夕刊セット、朝刊単独、夕刊単独を合算して5377万部を誇っていた。全国の隅々まで戸別配達網があり、世界一の「新聞大国」とも言われてきた日本だが、全国紙を中心にした「押し紙」による販売店の疲弊、2008年のリーマンショックを機とした広告減による経営の悪化、さらには記事の質の低下など様々な問題が露見していった。
本稿を記すのは、現役の新聞社幹部とOBで構成される有志集団「プロジェクトP」である。人々から斜陽と揶揄される新聞界の現状を憂いている。そこで今、自戒を込めて新聞業界に抜本的な改革を問いたい。
新聞が担ってきたジャーナリズムの力は今なお大きく、その意義はこれからも変わらないと私たちは確信している。悲観的な新聞不要論に与することなく、「販売」「ネット」「経営」という3つの視点から新聞業界を多角的に分析し、提言を投げかけることにした。
1章 販売店に生き残る道はあるか
まず、冒頭では新聞が読者に届く最前線である新聞販売店を取り上げたい。
販売の現場における最大の問題は、ここ数年誰の目にも明らかになってきた「押し紙」である。押し紙は、長年日本の新聞、とりわけ全国紙の部数に大きな影響を与えてきた。
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source : 文藝春秋 2017年08月号