高齢社会から超高齢社会に向けて突き進む日本。求められるのは、単なる長生きではなく「健康長寿」だ。そこで、日本を世界一の長寿国に押し上げる「元気な九十代女性」の日常生活から、生涯現役の秘訣を探ってみたい。
「高座に上がって客席から『待ってました!』なんて声がかかると、言ってやるのよ。『死ぬのをね ?』って(笑)」
内海桂子さん(九一)が演芸の世界に入ったのは昭和十三年、十六歳の時だった。戦後テレビの普及とともに「内海桂子・好江」のコンビで一躍人気者となり、漫才界の頂点に上り詰める。十七年前に相方が亡くなってからも漫談のスタイルで高座を務め、九十一歳の今も、「お呼びがかかればどこへでも行く」という。
月に八〜十日は演芸場の高座に上がる。二十分の持ち時間は立ちっぱなしだが、疲れることはない。
「ネタは決めずに上がります。お客さんの野次に応えて遊んでいるうちに、その日のネタの方向性が決まっていく。ネタに入らずに、お客さんとのやり取りだけで終わっちゃうこともある。でも、いいのよ。『あんな婆さんが頑張ってるなら俺も頑張るか』って思ってもらえればいいじゃない」
体で調子の悪いところはない。二〇〇七年に乳がんが見つかったが、手術で摘出して再発転移はない。三年前には肺炎も経験したが、これもいつの間にか治ってしまった。
食べ物に好き嫌いはないが、“強い味”を好む。減塩やカロリーオフには無関心で、毎晩の晩酌も譲らない。
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source : 文藝春秋 2014年06月号