独占手記 私はなぜここまで嫌われたのか

みのもんた キャスター
エンタメ 芸能

世間をお騒がせしたのは申し訳ない。しかし、寄ってたかって叩かれるような悪人じゃありません

みのもんた氏 ©文藝春秋

 毎日、午前三時に目を覚ます。それがこの八年あまりの私の日課でした。平日の毎朝五時半から始まる「みのもんたの朝ズバッ!」に出演するためです。まだ暗いうちに鎌倉にある自宅を出て、東京のテレビ局までは車で約一時間ほど。その間に、今日はどのニュースを、どういう言葉で、視聴者に伝えようかと思いを巡らせます。そんな日々に充実を感じていました。

 それがこの九月から一変しました。ご存知のように日本テレビに勤務していた次男が窃盗未遂などの容疑で逮捕され、報道番組への出演を自粛したからです。そして十月二十六日、記者会見を開き、「朝ズバッ」「サタデーずばッと」、二つの報道番組の降板を発表しました。

 習慣というものは恐ろしい。今でも自然と午前三時には目が覚めるんです。目覚まし時計も要りません。しかし、正直、時間が余って仕方がない。昨年五月に妻を亡くし、鎌倉の家に住んでいるのは私一人です。テレビは昔から見ないので、自粛を決めてからは納戸や駐車場の片付けをしたり、磨いたことのない車を洗ったりして過ごしました。靴なんかも全部ピカピカになってしまった。

 世間をお騒がせしたこと、関係各位に多大なご迷惑をおかけしたことは言うまでもありません。子供の起こした事件に、親としてどこまで責任を取るかという問題にも、私なりに正面から向き合うつもりです。

 しかし、事件発覚からの六週間、週刊誌を中心とした、私に対するバッシングは想像を超えるものがありました。事件を離れ、みのもんたの存在自体が悪だ、と言っているとしか思えない記事もあります。特に「週刊文春」と「週刊新潮」はキツかった。また、テレビ局やスポンサーなどに、「みのをやめさせろ」といった電話を執拗にかけてくる視聴者もいたようです。

 そうしたなかで、妻が亡くなった後、まだ納骨していない骨壺を前に、次男が起こした事件のこと、続いて起こったバッシング、そして親としての責任などについて、自問自答を繰り返しました。その答えのひとつが、今回の番組降板だったのです。

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source : 文藝春秋 2013年12月号

genre : エンタメ 芸能