文藝春秋digitalのオンラインイベント「いま学校で起きている国語力崩壊 『ヤバイ』しか言えない子供たち」が、2022年9月29日に開催されました。
ノンフィクション作家の石井光太さんは、今年7月に『ルポ 誰が国語力を殺すのか』(文藝春秋)を上梓しました。現代の子供たちが直面する国語力崩壊への危機感について書かれたこの本を、歌人の俵万智さんは「よくぞ書いてくださったと感じた」「日本にいるすべての人に、他人事ではなく自分事として考えてほしいと思わせる一冊」と絶賛。対談では、石井さん・俵さんのおふたりに国語力崩壊の問題について深く語っていただきました。
石井さんは様々な教育現場への取材を行うなかで「自分が何を言いたいのかわからない、自分の行動や考えを言葉にできない子供がいて、学校の先生もその子に何をしてあげればいいのかもわからない」という現実を感じたそうです。そして、「なぜこの社会が子供から言葉を奪ってしまったのかを考えなくてはいけない」と考えたといいます。

イベントは9月29日にオンラインで開催されました
子供に絵本の読み聞かせをする大人が減っている。そのことを憂えた石井さんが思い出したのは、俵さんのエッセイ『かーかん、はあい 子どもと本と私』(朝日文庫)だったそうです。子供に読み聞かせた絵本について書かれたその本を振り返り、「読み聞かせを通したコミュニケーションは、子供の国語力を豊かにしている」と感じたといいます。
俵さんは読み聞かせについて「目の前の子供のためのコミュニケーションができる、すごく贅沢な時間」と語り、また親から子供へ豊かな言葉を伝えることについては「言葉をプレゼントすることは、一生ものの贈り物。お金だったら使ってしまった分なくなってしまうけど、言葉は使えば使うほど増えていく」と、読み聞かせを行うことで生まれるポジティブな働きについて言及されました。
他方で、国語力を育てる機会が子供から奪われている現実について、俵さんは「国語力は今までと違うことを感じるとか、子供同士で新しい会話をするなどして育っていく。いまの子供たちは大人の管理下で安全に遊んでいるのだけど、逆に子供たちが野放図に遊ぶことはすごく難しくなっている。それだと、遊びのなかで新しい経験をすることができなくて、国語力を養う機会が失われてしまう」「子供には子供同士で野放図に遊んでほしい。子供時代の遊びの時間は大人になって取り戻すことはできないから」と、いまの社会への危機感を語りました。
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source : 文藝春秋