国会議員で暴露系ユーチューバーのガーシーとはどのような人物なのか。過去にはバーや芸能事務所、アパレルブランドなどを経営。そこで知り合った芸能人のアテンド（女性をあてがう仕事）をやっていた。そして違法賭博にのめり込み借金を負い、芸能人のスキャンダルをネットで暴露することでカネを稼ぐようになる。

　ガーシーは規約違反の投稿によりユーチューブやツイッターのアカウントを停止されたが、それをネタにして注目を集め、有料のオンラインサロンに支持者を誘導。運営側が明かした登録者数で単純計算すれば、月に1億円以上稼いでいる。

　韓国のアイドルグループBTSに会わせると称してカネを要求した詐欺行為では、警察が動き出したとの情報を得て、ドバイに逃亡。

　2022年7月の参院選にはNHK党からリモートで出馬。政治家になる目的は「お金」「不逮捕特権」を手に入れるためであり、公約は「当選したら（著名人）47人の暴露を実名でやる」。結果、比例区で当選、得票率は2％に達し、NHK党は公選法上の政党要件を維持した。しかし、ガーシーは逮捕を恐れてドバイからの帰国を拒否。いまだに登院していない。

　こんな人物が国会議員になってしまった理由は、ナショナリズム（近代国家を成立させる原理）の衰退・機能不全にある。

　人口100人の村だったら、プライバシーの暴露を公約にかかげる人物が村長に選ばれることはないだろう。おかしな人物に投票した報いは直接自分の身に降りかかってくるからだ。

　しかし、この30年間、急激に進められた構造改革路線にいかがわしい勢力が結集し、規制緩和により発生する新しい利権の収奪合戦を繰り返した結果、日本は大きく傾きはじめ、国民の分断は進み、国家に対する当事者意識が稀薄な人が増えた。

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