宮内庁を天下りの巣にするな

炎上と分断を超えて

河西 秀哉 名古屋大学大学院人文学研究科准教授
ニュース 社会
河西秀哉氏 ©文藝春秋

 宮内庁というのはなかなか不思議な役所である。「内閣府に置かれるもの」(内閣府設置法第48条)であり、皇室関係の事務を担っている。では何が不思議なのか。

 それは、「オモテ」と「オク」と呼ばれるような、他の省庁にはない、独特の線引きがあるからである。

「オモテ」は天皇の公務などに関する事務を扱う。儀式や外国との親善を担当する式部職、皇室関係の文書に関する事務や陵墓管理を担当する書陵部などがあり、政府との調整や報道機関への対応など、皇室の「公」に関する側面の様々な事務を行う。トップは長官である。

 一方、「オク」は天皇と皇后などを支える侍従職が代表的であるが、上皇職と皇嗣職もあり、宮内庁のホームページによれば、それぞれの「直接お身近のことを担当」する。いわゆる側近として、天皇・上皇・皇嗣などの側に控え、「私」に関する相談にもすぐに応じる体制となっている。トップはそれぞれ侍従長、上皇侍従長、皇嗣職大夫である。

 もちろん、「オク」も宮内庁の構成部局であるから、最終的な責任者は宮内庁長官(次長がそれを支える)となる。長官は侍従長らを統括する役目とも言える。

 とはいえ、職務上、天皇らと接触が多く、先ほど述べたように私的な部分も含めてその意思をやはり数多く、そして直接的に聞くのは侍従長らである。

 つまり、このどこか「ねじれ」のようなものがある不思議な役所が、宮内庁なのである。

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source : 文藝春秋 2023年2月号

genre : ニュース 社会