アメリカのジャーナリスト、アビゲイル・シュライアー氏の “Irreversible Damage : The Transgender Craze Seducing our Daughters”の翻訳書が今月3日、『トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇』のタイトルで、産経新聞出版から刊行された。昭和大学医学部の岩波明教授(精神医学、1959年生まれ)が監訳を担当している。
もともとはこの1月に、『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』の邦題で、KADOKAWAが出版する予定だったが、予約注文の受付開始直後の昨年12月、発売中止に追い込まれていた。「トランス差別だ」と憤った活動家らの攻撃に屈した格好で、同社は公式サイトで謝罪までしている。
以来、約4ヶ月。新しい版元は新刊の帯に、「ヘイトではありません」「あの“焚書”ついに発刊」の惹句を添えた。だが産経新聞出版にはこの間、発売を中止しなければ取り扱い書店に放火するなどとした脅迫メールが届き、複数の大手書店が販売を自粛する事態にもなっている。警視庁は威力業務妨害事件として捜査中だ。
◆反トランスジェンダーを語ったものではない
ただならぬ空気に覆われながら、監訳者は今、何を思うのか。3月下旬の某日、岩波氏が病院長を務める昭和大学附属烏山病院を訪ねて、話を聞いた。
――お蔵入りにならずに済みましたね。
「よかったです。こうして形にすることができて。
僕はKADOKAWAから『発売中止が決まりました』という連絡をもらうまで、こうした事態になるとは、思っていませんでした。この本は事例とインタビュー、医学文献の紹介などで構成された、アカデミックベースのノンフィクション作品です。反トランスジェンダーを語ったものではないし、感情的な反応を受ける要素も感じられませんでした。
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