「経産省トイレ裁判」が残した課題――現実味を帯びる「セルフID」制度導入とLGBT先進国の混乱

リベラルによるリベラル批判 第2回

斎藤 貴男 ジャーナリスト

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 これからの日本社会のありように重大な影響をもたらす可能性のある判決が出た。

 さる7月11日、最高裁第3小法廷。生物学的な性別も戸籍上も男性だが、女性として生きる「トランスジェンダー」の経済産業省職員・A氏(50歳代)が、省内の女性用トイレの使用を制限されたのは違法として国に処遇の改善を求めた訴訟の上告審で、今崎幸彦裁判長が、経産省の対応を是認した人事院の判定を適法としていた2審・東京高裁判決を破棄。トイレの制限が〈裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法になる〉とする判断を言い渡したのである。

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