茨木のり子(1926年〜2006年)
岡 仁詩(1929年〜2007年)
深代惇郎(1929年〜1975年)
木庭 教(1926年〜2008年)
藤沢周平(1927年〜1997年)
「代表的日本人」というテーマを与えられたが、その人をいささか深く知るという意味では、これまで評伝的なものを記した人々であろう。その中から、私にとって、魅力的で、好意を抱いた5人を挙げて、本テーマに応えるものとさせていただきたく思う。
1人は、詩人の茨木のり子。『清冽』というタイトルで評伝を書いた(2010年、中央公論新社)。
茨木が生前最後の新詩集『倚りかからず』(1999年、筑摩書房)を刊行したのは73歳のときだった。
《もはや/できあいの思想には倚りかかりたくない/もはや/できあいの宗教には倚りかかりたくない/(中略)/じぶんの耳目/じぶんの二本足のみで立っていて/なに不都合のことやある/(後略)》
詩集としては異例の売れ行きとなり、累計二十数万部に達している。思想、宗教、学問……権威あるものが崩れていく中、「倚りかからず」は時代の声でもあったろう。
茨木の基底をなすものの1つは戦争世代であることだ。1926(大正15)年生まれ。少女期から思春期、自身を「軍国少女」だったとも語っている。やがて敗戦、世の中はひっくり返る。
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source : 文藝春秋 2023年8月号