藤原不比等(659年〜720年)
徳川家康(1543年〜1616年)
徳川慶喜(1837年〜1913年)
近衛文麿(1891年〜1945年)
緒方貞子(1927年〜2019年)
経営者の仕事は現場とのやりとりが勝負です。とりわけ重要なのは、経営戦略に合わせた行動が現場で実行されているかどうかを確認すること。市場の現実や工場の能力などから、「これはできません」とリアクションが返ってくることはよくある。何らかの事情で実行されていない場合、なぜそれが実行されないかを現場と確認し、行動ができない事情を理解する必要があります。
国内でも海外でもそういう対話をしてきましたが、日本の現場で戻ってくる反応と、海外で戻ってくる反応のパターンには違いがあります。詳しくは後述しますが、そのあたりに「代表的日本人」のヒントがありそうだと考えています。
商社勤務のサラリーマン時代にアメリカのビジネススクールで学んだ私は、帰国後の2000年に工具のネット販売会社MonotaROを起業し、その9年後には東証一部に上場。その実績を買われ、2016年から住宅設備大手LIXILの経営を任されました。四半世紀近く国内外の企業を経営してきたので、日本人の特性は少しわかってきたような気がしています。
グローバル市場で日本の存在感が薄れている、と言われます。個別企業の苦戦の原因はそれぞれあるでしょうが、私は、その根っこの部分に共通する「日本の原型」の問題があるのではないか、と感じてきました。国際的に求められるスピーディーな意思決定ができない、失敗の責任がはっきりしない、といった日本的組織の弱点もここから来るのではないか、と。
偉業をなし遂げた人物から「代表的日本人」を拾うのも1つの方法ですが、私はあえて、こうした「原型」をつくった人物に着目するところから話を始めたいと思います。その原型は、ある時は日本の成功の原動力にもなり、またある時は、その原型があるが故に、改革の足かせになっていると考えてきたからです。
国を型にはめた不比等
真っ先に名前をあげたいのは奈良時代の政治指導者、藤原不比等です。高校の教科書でいえば、奈良時代は都を藤原京から平城京に移した710年からと教わりますが、不比等はその9年前の701年、中央集権的な統治の基礎となる大宝律令を定め、遷都を主導しました。
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source : 文藝春秋 2023年8月号