国会議員から国際指名手配犯へ。暴露男はなぜ支持を集めたのか
「脅迫と言われてもね、真実を伝えているだけなので。完全に今回の捜査は茶番だなと思っている。既得権益を持っている人間が動いているんだろうなって認識しています。警察担当の記者からも色々聞きましたけど『完全に国策で動いている』って言い方をされたんで。ワケわからん容疑をいっぱいかけられて、再逮捕、再逮捕となったら『刑務所入ってるんと一緒やな』と思って、日本に帰らない選択をしました。どう思います? 名誉毀損の罪で、国際指名手配かけますか!」
3月22日、ドバイ時間の午後2時、「ガーシー」こと東谷義和(51)は、Zoomの画面越しの私に捲し立てた。
昨年2月、突如としてYouTubeチャンネルで、東谷は芸能人や有名人の「醜聞」の暴露を始めた。「おれ、失うものないから。全部喋るから」と、俳優の下半身スキャンダルやタレントの違法賭博、アイドルの枕営業に未成年飲酒などを暴き続けてきた。YouTubeの再生回数は爆発的に増え、2カ月足らずで登録者数は100万人を突破する。
そしてついに昨年7月、NHK党から参院選に出馬し、当選を果たす。だが1度も登院することなく、3月15日に参院本会議で「除名」が可決された。その翌日にはネット上の暴露が暴力行為等処罰法違反(常習的脅迫)や名誉毀損容疑などにあたるとして、逮捕状が請求されるに至った。
ガーシーとは一体何者なのか。なぜ一介の“暴露系ユーチューバー”だった彼が、国民の支持を得て、国会議員となり得たのか――。
「当選したら3億円払う」
東谷の爆発的な人気に目をつけたのが、旧NHK党党首の立花孝志である。元NHK職員の立花は、NHKの受信料不払いやスクランブル放送化などを掲げ、2013年に「NHK受信料不払い党」を設立し、19年の参院選で初当選を果たす(のちに辞職)。党名を次々と変え、現在は「政治家女子48党」を名乗り、同党は参院に議員2名、地方自治体に20人の議員を送り込む。
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source : 文藝春秋 2023年5月号