爆弾告発男・ガーシーとは何者なのか。1年近く密着してきた元朝日新聞記者が、ガーシーの「本質」に迫る。
◆
ある種の無垢な精神の持ち主――。国会欠席問題で除名処分が検討されている参院議員、ガーシーこと東谷義和=敬称略=をそんな風に形容すると、「そんなばかな」という反応が返ってくるだろうか。「詐欺まがいのことをしたペテン師だぞ」「取材者はガーシーにすり寄っているのか」という声も聞こえてきそうだ。しかし、この表現は彼に1年近く密着してきた私が抱くウソ偽らざる感想だ。
昨年2月17日、動画配信サービスのYouTubeで、「東谷義和のガーシーCH【芸能界の裏側】」 は突如として始まった。芸能人に対し27年間、異性を引き合わせる「アテンダー」をやってきたとし、自らの詐欺疑惑が発覚すると、急に連絡を絶つなどして「手のひら返しをした」芸能人の友人らに対し、「私怨」だと公言しながら過去のスキャンダルを暴露し始めた。速射砲のような関西弁の語り口、「きっちりやったる」「全部めくったる」といった特徴的な言い回しも話題となり、チャンネル開始50日たらずでチャンネル登録者数は100万人を突破する。
そして昨年4月、朝日新聞ドバイ支局長だった私は初めて東谷に接触することになった。その1ヶ月ほど前に東谷がドバイにいるという情報が私のもとに寄せられ、取材対象として強い関心を抱くようになっていた。詐欺疑惑も抱えているため事件取材の目的もあったが、何よりも「文春砲ならぬガーシー砲」「一人週刊誌状態」などとの論評も出始めており、一つのメディア現象を起こしている人物として取材する価値が大きいと考えた。あくまでも物議を醸す渦中の人として、是々非々で取り上げる。その視座さえブレなければ記事として成立するだろう――。そんな思いで東谷のツイッターのダイレクトメールを通じて取材を申し込んだのが全ての始まりだった。
当初は「(詐欺疑惑の)被害者への弁済が終わるまではインタビューは受けられない」と拒まれたが、挨拶という名目で会えることになった。ドバイでオープンしたばかりの最高級の和食レストランが場所に指定され、そこで東谷と初めて対面したのだ。
黒で統一された高級感漂う店に、東谷はベージュの野球帽に白いTシャツ、膝までのハーフパンツというカジュアルな格好で現れた。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 電子版オリジナル