参議院は必要か

政と官の劣化をとめる

竹中 治堅 政策研究大学院大学教授
ニュース 政治
竹中治堅氏 ©文藝春秋

 参議院と聞いてどのような言葉が思い浮かぶだろうか。「良識の府」として「衆院の行き過ぎを抑制し、政策などの均衡を図り、足らざる所を補完すること」(斎藤十朗元参議院議長『朝日新聞』2019年7月12日)を期待されることもある。しかし、こうした機能を果たしているのか疑問視され、「政局の府」「衆議院のカーボンコピー」などと呼ばれることもしばしばである。

 また主に比例区を中心に著名人などがいわゆるタレント議員として当選することもある。2022年7月の参議院議員選挙では「ガーシー」こと東谷義和氏が当選。海外滞在中の東谷氏は一度も登院しておらず、問題視されている。

 参議院への関心は衆議院に比べて少なくなりがちである。最大の理由は衆議院が参議院に優越し、参議院は首相を選出する機能や予算や条約の修正権が乏しいためである。また憲法の上では可能であるものの、これまで参議院議員が首相に就いたことがないのも理由のひとつだろう。

 しかし、実際には、参議院は重要な権限と、内閣に対する大きな影響力をもつ。

 日本国憲法の下で、衆議院とは違い、内閣は参議院の多数派から支持を得られる仕組みになっていない。実質的に首相を選ぶのは衆議院であり、参議院ではないからである。一方、衆議院の優越は弱く、参議院の支持がなければ法案成立は難しい。

 たしかに衆議院が可決した法案を参議院が修正あるいは否決した場合でも、再度出席議員の3分の2以上が賛成すれば、衆議院は法案を成立させられる。しかし、そもそも衆議院で与党勢力が議席の3分の2以上を確保することが難しく、多数派を形成できたとしても、再可決に時間がかかり緊急課題に十分対応できるとは限らない。

 こうした独特の影響力が、参議院を「政局の府」にも「カーボンコピー」にもする。

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source : 文藝春秋 2023年2月号

genre : ニュース 政治