昨年、日本共産党は幾多の困難を乗り越え、創立100年を迎えた。保守化する現代日本においても、さまざまな場面で地道に活動し続けている共産党員の方々に最大限の敬意を表したい。
だが、「共産主義」や「マルクス」に対するアレルギーは依然として強い。そのことは、マルクス主義者の私も日々痛感している。党員の高齢化が進み、党員数も減っているというのも心配だ。最盛期と比べ、国会の議席数も、「赤旗」の購読者数も減っている。衰退傾向を止めるには、若い世代への継承が急務であろう。
一方欧米では、若者を中心に左傾化が進んでいる。昨年11月に行われた米国中間選挙で「赤い波」予測が外れたのは、今回初めて選挙権を獲得したZ世代が民主党に投票したからだと言われている。
事実、「アメリカ民主社会主義者(DSA)」の構成員は倍増し、平均年齢も大幅に若返っている。若い世代は「ジェネレーション・レフト(左翼世代)」なのだ。そして、2028年にはミレニアル世代とZ世代が有権者の過半数を占めるようになる。資本主義の中心地アメリカで地殻変動が起きる可能性がある。
こう言うと、米国の若者は「社会主義」を掲げているが、その内実は欧州の「福祉国家」に過ぎないという反応がある。だが、それは違う。Z世代の要求には、資本主義からの大転換を迫るような要求が含まれているからだ。その一つが気候危機を前にした「脱成長」である。
資本が無限増殖を目指すシステムであるからこそ、脱成長は資本主義に対立する。全体のパイが大きくならないからこそ、より多くのものを平等な形でシェアすることを、脱成長は求めるのである。ここに、晩期マルクスとの親和性がある。
脱成長と比較すれば、気候危機を止めるために、「緑の経済成長」を掲げる日本共産党の立場は非常に穏健に映る。実際、環境に優しい技術に積極投資をして、雇用を創出し、経済成長しようというのは、欧米の資本家やリベラルの主張と変わらない。
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source : 文藝春秋 2023年2月号