ポイント還元を起爆剤に“革命”を起こします!
キャッシュレス決済の普及についてお話しする前に、触れておかなければならないことがあります。
JIC(産業革新投資機構。以下、投資機構)の一件です。昨年12月10日、田中正明社長(当時)が会見を開き、民間の取締役全員の辞任を発表しました。私は、当日の朝に初めて「辞任するらしい」と聞きました。投資機構は国内最大の官民ファンドです。我々としては、経営陣と共同で作り上げていきたかったのですが、非常に残念です。
こちらにミスがあったことは反省しています。9月の段階で糟谷(敏秀)官房長が、正式な書類ではないにせよ、高額報酬を記したオファーレターを渡してしまった。私は11月3日に出た報道によって、業績連動の仕組みや具体的な報酬額を初めて知り、「えっ、こんな話になってるの?」と驚いたほどです。むろん、経産省が高額報酬を確約したと思われたことは我々の失態。ですから、私と事務次官が給与を返納し、責任者としてけじめをつけたのです。
ただし、こちらにも言い分はあります。田中社長は記者会見で「1円でも働きにきた」と話していましたが、そんなわけはない。報酬額が問題の発端なのは間違いありません。いくらなんでも最大で1億2000万円は高すぎます、と説明しましたが、納得していただけませんでした。
問題の前提として、報酬に対する考え方が民間のファンドと官民ファンドとでは違うことをご理解いただかねばなりません。民間では、トップが自ら出資し、リスクを背負って資金集めをする。そのため成果に応じて大きな報酬を得るケースもある。しかし、官民ファンドは違います。認可さえ受ければ国のお金が自動的に出てくるわけですから、おのずから報酬額には限度があるべきです。
そもそも、投資機構の経営陣は個別の投資判断をしません。ファンドに方針を示し、ファンドマネージャーが適切に投資しているかを監督する立場です。いわばプロ野球の監督で、監督に四番打者と同じ給料を払う球団があるでしょうか。世界的な投資家をファンドマネージャーとして連れてくれば、その方への報酬として1億、2億円はもしかしてありうるかもしれないが、今回はそこまでの議論に至りませんでした。
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source : 文藝春秋 2019年2月号