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【イベントレポート】省力化DXがもたらす基幹業務の構造改革 ~IT部門が牽引する「全社デジタル変革」成功の秘訣

  

 

先進国の中でも労働生産性の低迷が目立つ日本の企業にとってDX(デジタルトランスフォーメーション)は最重要課題だ。ところが、多くの日本企業のDXはIT人材不足が足枷となって思うように進んでいない。2月3日(金)、東京・大手町の会場に約100人を集めて開催された「省力化DXがもたらす基幹業務の構造改革」(文藝春秋主催、KPMGコンサルティング・日本マイクロソフト協賛)は、日本企業のDX推進におけるIT人材不足のジレンマを解決する処方箋を考察した。


<アジェンダ1:省力化ITエコシステムアプローチ>

●基調講演

『省力化時代の次世代IT部門×ITエコシステム整備の勘所』

 ~IT人材不足を考慮したIT部門が牽引するDXアプローチ~

  

 

KPMGコンサルティング株式会社

Technology Transformation アソシエイトパートナー

豊田 直樹氏

SI事業者から某大手外資系コンサルファームを経てKPMGに転職。SE経験を活かした下流から上流工程までを包括したITスキルを強みとして、IT戦略策定からITシステムの設計・導入、IT組織/制度の策定・運用・高度化やDX業務改善業務などに幅広く従事する。近年はIT・テクノロジーを活用した業務の効率化・高度化について注力している。

DXを担うIT人材が圧倒的に不足している。将来にわたって継続的変革が必要なDXは内部人材による推進が望ましいが、優秀なIT人材が引く手あまたの今、優秀なIT人材の流出阻止だけでなく新規採用も非常に難しくなっている。

「多くの企業は社内のIT人材不足でDXが進んでない。その結果、志を持っている希少な優秀なIT人材も社外流出し、さらなるIT人材不足を招く負の連鎖が起きています」(豊田氏)。

IT人材に「この会社にいたい」と思わせる施策

短期的に必要となる施策は、人材に「この会社にいたい」と思わせる心理的安全性の担保だ。「あれも、これも」ではなく、「今すべきこと」のタスクを整理し、優先順位をつけてIT施策のロードマップ、WBSを策定。「実行可能な施策、タスクを可視化することで経営層の判断によって負荷バランスをコントロールすることができるだけでなく、仕事の将来の見通しなどの期待を持せることが大事」(豊田氏)だ。

中期的施策では、現場の要望のままシステム化をするのではなく、業務目的を見極めた無駄な業務を減らすことが必要だ。すなわち、BPR(※1)を行って業務をシンプルにした後でシステムを導入するのがポイント。業務が複雑なままでは、システムも複雑になる。そのためにトラブルが頻発すれば、かえってIT人材の負荷が増えかねないからだ。その上で、外部委託する業務を見極め、内部体制を整備する。長期的にはジョブ型採用に移行してDX人材確保を容易にすることが求められる。

  

 

変革の牽引役を担うこれからのIT部門

従来のIT部門は、事業部門のITニーズに応えてテクノロジーを提供する役割だった。だが、これからは事業部門のIT企画領域を含めてプロアクティブに牽引する存在になるべきだ。基幹業務刷新でも、IT部門が企画段階から参画して事業部門のニーズを把握し、標準的な機能を共通プラットフォームで提供する「中央集権的体制」へ移行する。各事業部のガラパゴス(非標準)機能は必要性を見極め、残すのであればサイロ化領域として整理したうえで、ノーコード・ローコード開発で対応する。

豊田氏は「IT投資は必ずしも定量的な費用対効果を示すことが困難なので、経営層は意思決定にあたって無駄に定量化を求めず、速やかに定性的に判断することが重要です。その経営層のIT戦略に係る定性的意思決定を支える中核組織としての役割がIT部門の重要な役割になります。我々は企業のIT人材不足の現状を踏まえた効率的なDX推進体制を整えるために、必要なヒト・モノに係る実践的なロードマップの策定や省力化した実現可能なアクションプランとプランに基づく実行支援といったIT部門が自走化で立ち上がるまでの総合的な伴走支援を提供します」と語った。

  

※1)BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング) プロセスの観点で職務、業務フロー、管理機構、情報システムを根本的にデザインし直すこと

●特別ゲスト講演

『変化を嫌う製造現場での生産性向上への取り組みで見えたもの』

 ~当たり前に行っている作業の見直しから始めた製造現場DXの実情~

  

 

日本化薬株式会社

姫路工場 管理部長

森岡 輝次氏

日本化薬株式会社に入社後、医薬事業部のMRやERPの導入や企画、人事部のシステム導入から人事教育担当など多くの業務を実施。自動車安全部品や火薬を製造する姫路工場の生産計画・部品原材料購買の統括を経験後、現在はIT推進業務のリーダとして管理部長を務める。

エアバッグ部品などの自動車安全部品のほか、化学、農薬、医薬品事業を手掛ける日本化薬。その組織風土は、祖業が火薬事業ということもあって安全優先だが、保守性が変革の妨げになる面もあるという。

紙の書類の回覧物が多く、長い回覧経路の途中で紛失も起きる。データもすぐに活用できるように整備されていないため、担当者が都度、まとめていた。姫路工場に着任した森岡氏は、業務改革の必要性を感じていたが、目の前の仕事に追われ実行に移せずにいた。

IT中期計画のパイロットPJがスタート

変化があったのは2020年。同社IT中期計画立案にあたり、本社情報システム部よりパイロット事業所としての取り組みを打診され、姫路工場でプロジェクトチーム発足に至った。工場長と開発本部長から、仕事を理解した中堅以上のメンバーを選出するようリクエストもあり組織としての本気度は高かった。それでも当初は、デジタルサイネージ、データ自動入力、情報共有基盤などプロジェクトスコープが広すぎたことや、変化を好まない企業文化もあって順調には進まなかった。

  

 

そこで、紙の書類で共有していた異常発生の速報、事故には至らなかった危険(ヒヤリハット)情報の電子化にターゲットを絞った。KPMGのコンサルティングで書類回覧の目的・本質を議論し、情報共有のスピードアップによるメリットをプロジェクトメンバーがイメージできたことで、ようやく取り組みが加速。22年6月には電子回覧の仕組みが稼働した。

変革に取り組みたい人の数を増やす

動きだすまで苦労はしたが、プロジェクト成功で、社員の業務改革に対する心理的ハードルは下がった。

  

 

今後は、ものづくりのコアに近い領域のOT(※2)にも取り組みたいとした森岡氏はこう考えている。「10分の1と100分の10は、数字の大小は等値でも組織への影響力は異なります。斬新なアイデアを訴えるのが10人の中の1人では無視される可能性が高いが、100人の中の10人なら、そのアイデアは検討対象になる。変革に取り組みたい人の割合が同じでも組織の中で変革が起こらないことがある。変革に取り組みたい人の絶対数を増やすことが大事だと思います」

※2)OT(Operational Technology) 製造現場の設備やシステムを動かすための制御技術


●ソリューション講演

『ローコード/ノーコードツールのDX活用方法』

 ~MENDIXで実現する省力化システムとDX実践アプローチ~

  

 

シーメンス株式会社

シーメンスDIソフトウェア Cloud APAC Channels

パートナーセールスエグゼクティブ

田口 等氏

外資系ソフトウェアベンダーを経て、2021年シーメンスに入社。システムエンジニアとしてキャリアをスタートし、その後外資系ITベンダー数社で営業として大手企業への各種ソフトウェアやクラウドサービスなどの販売を幅広く経験。その経験を活かし、『Mendix』のパートナービジネスおよびパートナーエコシステムのさらなる強化のため活動中。

 

シーメンス株式会社

Cloud APAC Pre Sales ソリューションアーキテクト

小林 正典氏

SI事業者から外資系ソフトウェアベンダを経て、2021年シーメンスに入社。 大手企業の業務改革やシステム刷新プロジェクトのシステムエンジニア、PMを実行。SE経験を活かしたプリセールス活動を実施。

人材不足でIT部門がビジネス側のニーズに応えられないITギャップが広がる中、プログラミンコードをほとんど書かずにアプリケーションを開発できる「ノーコード/ローコードツール」が注目されている。ローコード開発ツール「MENDIX(メンディックス)」を提供するシーメンスの田口氏は「基幹システムや外部システムと連携するアプリケーションの開発にローコードツールを利用する企業が増えています」と語る。

ビジネスユーザーとITスペシャリストのコラボで高速開発

MENDIXは、プログラミング不要のビジネスユーザー向けノーコードツールと、ITスペシャリスト向けにプログラミングの手間を省くローコードツールの2種の開発ツールを備え、両者の共創を実現するプラットフォームだ。「コードを書けないビジネス側もブロックを組み合わせる要領でイメージするアプリのプロトタイプを作れるので、IT側との認識合わせが容易です。IT側も一からコードを書かずに、必要な機能のパーツを追加することができ、迅速な開発につながります」(田口氏)。

  

 

SAPとのパートナーシップにも強み

MENDIXはウェブやモバイルなどあらゆるタイプのアプリに対応。1つのプラットフォームで、開発からデプロイ(展開)、運用・モニタリングのすべてをカバー。デプロイ先もオンプレミス、各種クラウドサービスから柔軟に選べる。パーツ、他のシステムとのコネクタ、サンプルアプリなど多彩なコンテンツもマーケットプレイスで提供されている。

MENDIXはSAPとパートナー関係にあり、サポート期限が迫るSAP ERP Central Component(ECC)から後継のSAP S/4HANAへの移行にも有用だ。ECCにアドオンされていた拡張機能をMENDIXで作ってS/4HANAと連携させれば、S/4HANAのコアに手を加えずに迅速な移行が可能になる。「SAPが提供するローコードツールFIORIに比べて開発期間を短縮できます」と説明した小林氏は「MENDIX導入による費用対効果の創出、生産性の継続的向上が図れるよう、専属カスタマーサクセスマネージャーがサポートします」とアピールした。

  

 

<アジェンダ2:省力化基幹業務刷新アプローチ>

●基調講演

『模範解答から始める省力的な基幹業務改革・DX』

 ~目指すべき業務モデルとテクノロジーを活用した業務改革・DXアプローチ~

  

 

KPMGコンサルティング株式会社

Collective Priority Solutions 執行役員 パートナー

立川 智也氏

CFO・CIOアドバイザリーサービスを中心に、企業の業務改革やシステム構築・DXプロジェクトにおいて、コンサルタント・責任者として基本構想の策定からその実現に至るまで一貫して多数支援。現在は、KPMG Globalの事業変革、業務改革・DX、および規制・リスク対応ソリューションを活用したサービス提供の推進をリード。

 

 

KPMGコンサルティング株式会社

Collective Priority Solutions アソシエイトパートナー

田村 暢大氏

20年以上にわたり日本本社や海外子会社における業務改革・システム構築・DXプロジェクトなどを数多く支援。海外経験も長く、KPMGにおいては5年のインド赴任経験を通じて、海外子会社における実態を把握した上でのガバナンス強化やDXの勘所や知見を有する。現在は、KPMGのグローバルネットワークを活用したビジネス推進と先進的ソリューションの展開をリード。

「テクノロジーを活用した事業変革や業務改革は難易度が高く、想定以上に時間やコストかかる、成果が出ないといった悩みを抱えている企業も多いと思います」(立川氏)。

このような悩みを持つ企業のために、KPMGは企業の事業変革、業務改革・DX、リスク規制・対応など全社的な変革を支援する包括的なソリューションを提供する。

成果を伴う改革の実現を支援するソリューション

KPMGは、企業が持続的な成長を続けるために必要な、テクノロジーを活用した改革を支援するソリューションとして、(1)Connected、(2)Powered、(3)Trustedを提供。(1)は企業全体を俯瞰し、顧客を中心に据えた事業変革の推進を支援するソリューション。(2)は業務機能の模範解答となる標準業務モデルとクラウド・テクノロジーを組み合わせた業務改革・DXを支援するソリューション。(3)はリスクや規制動向に適応し、ガバナンス態勢の整備を支援するソリューション。

  

 

標準業務モデルとビジネスアプリによる高速導入

基幹業務改革・DXのカギとなる(2)のPowered Enterpriseでは、KPMGが構築した業務プロセス、テクノロジー、ガバナンスや人材などの6つの構成要素に基づいた包括的な標準業務モデルを模範解答として活用することで、各社の目指すべき業務モデルの検討を効率的に支援している。また、KPMGでは当該標準業務モデルをマイクロソフトDynamics365(D365)などのテクノロジープラットフォームに実装済であり、これらのプラットフォームを活用することで、迅速、最適コスト、低リスクで目指す業務モデルの具現化まで支援している。さらに、最新の知見を踏まえて定期的に更新される標準業務モデルとプラットフォームを活用し、継続的な業務改革・DXを支援する。

グローバル展開するKPMGは世界に複数拠点あるオフショア開発センターと143の国と地域のオフィスが密に連携することで、スケーラビリティ、適切なローカライゼーションや文化適応性を確保し、様々な規模のプロジェクトの支援を可能とする。

  

 

業務プロセス、人材、ガバナンスなどを網羅した包括的な標準業務モデルのデモを行った田村氏は「Powered Enterpriseの標準業務モデルを模範解答として活用することで、先進事例を取り込んだ業務プロセスだけでなく、ガバナンスの抜け漏れや、人材に求められるスキル要件まで明確化できるため、新業務を確実に導入することが可能となります。また、導入後の業務モデルとD365を定期的にアップデートすることで、業務改革・DXの継続が可能となります。ぜひKPMGのPowered Enterpriseを活用して確実な成果を伴う改革を実現していただきたい」と語った。


<アジェンダ3:省力化サイバーセキュリティアプローチ>

●基調講演

『DX視点から、今一度セキュリティを再考』

 ~手戻りなくDXを成功に導く~

  

 

日本マイクロソフト株式会社

パートナー事業本部クラウドソリューションアーキテクト

Global Partner Solutions Cloud Solution Architect

三浦 俊平太氏

DXのフレームワークであるVeriSMや、マルチクラウド運用には欠かせない考え方であるSIAM等、VeriSM、SIAM、セキュリティの3つの柱でアセスメントからコンサルを行ってきた。現在はMicrosoftのパートナー様担当として、セキュリティ クラウド ソリューション アーキテクトとして活動。

DXの本質から外れた失敗例

消費者接点が店舗からデジタルへシフトし、商品は「企業が良いと考えた品」というインサイド・アウトの発想から「顧客ニーズに寄り添った品」というアウトサイド・インへ変わってきた。

「データを使ってアウトサイド・インを実現するのがDXの本質。デジタルで業務効率化するだけではDXになりません。いずれデジタル・ディスラプター参入でビジネスが破壊されてしまいます」(三浦氏)。

マイクロソフトはデータの収集・分析基盤、さらなる活用プログラムを作るローコード開発ツール、独立系ベンダーのソリューションを提供するマーケットプレイスを備えたクラウドサービスを提供している。

DX失敗でよくあるもう1つの例が、AIなど先端テクノロジーで「何かしたい」と始めた結果、ビジネスと整合しなくなるケースだ。VeriSM(※3)フレームワークで、最初にセキュリティなどの「ガバナンス」、次にデジタルによるビジネス変革を考える「サービスマネジメントプラクティス」、さらにテクノロジーに落とし込む「マネジメントメッシュ」の順に進むことで、ビジネスとデジタルを整合させられるとした。

  

 

運用やセキュリティをどう担保するか

「運用やセキュリティは、どの会社も予算確保が難しいが、そうも言っていられない現状がある」(三浦氏)。運用については、複数のクラウドプラットフォームを適切に管理するためのマルチクラウド運用モデルSIAM(※4)を紹介した。

セキュリティ面では、情報窃取から事業停止に追い込むことへと目的を変えている最近のマルウェア(悪意あるソフトウェア)が大きな脅威だ。対策ソフトでも防ぎきれないので、BCP(事業継続計画)などをCEO(最高経営責任者)マターで進めることが重要になる。また、テレワーク普及で社内外のすべてのアクセスを制御する「ゼロトラスト」アプローチも必要。三浦氏は「まずシステム侵害原因の大半を占めるID・パスワード盗難の対策として、多要素認証(※5)の導入を」と訴えた。

  

 

(※3)VeriSM(ベリズム) Value Driven(価値主導)、Evolving(進化する)、Responsive(機敏な対応)、Integrated(統合された)なService Management(サービス管理)の頭文字。企業が効率・効果的にサービスを管理する考え方。

(※4)SIAM(サイアム) Service Integration and Management(サービス・インテグレーションとマネジメント)の頭文字。複数のサービスプロバイダからサービス提供を受ける場合の管理の考え方。

 https://www.scopism.com/free-downloads/ から日本語資料もダウンロードできる

(※5)多要素認証 本人確認のために知識情報(パスワード等)、所持情報(携帯電話等)、生体情報(指紋等)のうち2つ以上を組み合わせて認証すること。


●コンサルティングソリューション紹介

コロナ禍で急拡大したサイバー攻撃、企業が今取り組むべきこと

~攻撃トレンドに合わせた今求められるサイバーセキュリティアプローチ~

  

 

KPMGコンサルティング株式会社

Technology Risk Services パートナー

澤田 智輝氏

セキュリティコンサルタントとして20年以上の経験を有し、海外のKPMGと連携をしたグローバル/グループ全体でのセキュリティ高度化を多数支援。サイバーセキュリティブループリントの策定などの戦略領域からゼロトラストアーキテクチャの実装などのテクノロジー領域まで幅広く支援実績を有する。

KPMG ASPAC Cyber Alliance Lead, KPMG Trusted Japan Lead, KPMG Microsoft Alliance Japan Lead

医療機関が診療停止に追い込まれるなど、国内でランサムウェア(身代金要求型ウィルス)被害が深刻だ。以前は個人のパソコンのデータを暗号化して復元に数十万円を要求する手口が主だったが、最近は組織のシステムに侵入してバックアップデータを含めて暗号化してしまい、事業を停止させ、数千万円を要求するなど手口が高度化、悪質化している。

サイバーセキュリティは日々の習慣が大事

KPMGの国内調査では、社内システムに侵入されそうな経路をチェックする脆弱性診断を定期的に実施していない企業が約7割だった。澤田氏は「空き巣犯が豪邸より戸締まりが不十分な家を狙うのと同様、攻撃者はセキュリティ対策を怠っている侵入しやすい組織を狙います。パッチ当て(修正プログラムによるソフトウェアの不具合修復)をきちんと行うなど、日々の習慣が大事です」と語る。

在宅勤務環境では、従業員のサイバーハイジーン(※6)の意識醸成、そして会社側のセキュリティ運用の重要性も増す。MDM(モバイルデバイス管理)製品の利用や、端末操作ログの監視などによってエンドポイントを管理。会社で利用するクラウドサービスや社内システムへの不自然なアクセス、セキュリティログによるシステム内の挙動の監視を強める必要がある。

  

 

人材不足下でのセキュリティ強化を支援

だが、調査では監視を統括するセンターとなるべきSOC(※7)を導入している企業も半数に満たなかった。また、運用・監視を強化しようとしてもセキュリティ人材は世界的に不足している。

澤田氏は「グローバルにセキュリティ体制を統合することも検討すべきでしょう」と提案。セキュリティ対策の将来像、ロードマップの策定から人材の配置や育成も含めた体制整備支援、セキュリティ監視高度化の支援、ゼロトラスセキュリティプログラムの策定支援、内部不正対策支援といったKPMGのソリューションを紹介した。

  

 

(※6)サイバーハイジーン サイバー衛生。一般的な衛生管理と同様にIT環境を健全な状態に保とうという考え方。

(※7)SOC(Security Operation Center、ソック)ネットワークやデバイスの状態を監視してサイバー攻撃の検出や分析を行い、対策を講じるための専門組織。外部委託するケースも多い。

source : 文藝春秋 メディア事業局