やはり若い血液には若返りの作用があったのか!?
前回は、老化の速度が遅いハダカデバネズミや死なないベニクラゲなどの生態を見ることで、老化や死は生物にとって必然ではないことがわかった。
だが、ヒトにおいてはそれらを避けて通った者はいない。老いと死に抗うために人類は科学や医学を発展させてきたが、時には常軌を逸したこともあった。
中世のハンガリーに、バートリ・エルジェーベト(1560年〜1614年)という貴族の女性がいた。この名を知らない人も「アイアン・メイデン(鉄の処女)」という拷問器具を聞いたことがあるかもしれない。
バートリは処女の血を浴びると肌がきれいになると信じ、血を搾るためにアイアン・メイデンを開発したと伝えられている。彼女は、女性から搾り取った温かい血液を満たした風呂に入ったり、人間の皮膚をかじって血肉を食らったと伝えられている。24年間に殺した人間の数は、本人の記録では650人。1610年にバートリが捕えられた時には敷地から無数の死体が見つかったという。
彼女は裁判にかけられ、共犯者の女中らは処刑された。だが、首謀者のバートリは高貴な家の女性ということで処刑はされず、幽閉されて死を迎えたとされる。彼女は「血の伯爵夫人」と呼ばれ、ドラキュラ伝説のモデルとも言われた。
当然のことながら猟奇殺人は許されない行為であるが、人はそれほどまでに老化を恐れ、アンチエイジングに心血を注いできたとも言える。
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source : 文藝春秋 2023年5月号