活動休止、性加害問題……5人の人生航路と、そして始まるそれぞれの道
4月2日午後3時過ぎ、前日の雨から一転、東京都心の上空には澄み切った青空が広がっていた。
JR総武線の水道橋駅西口から出てくる人々のほとんどが、外堀通りにかかる歩道橋を渡って東京ドームへ向かう。途中、「黄色いビル」を通ると、天井の電光掲示板に赤、青、黄、紫、緑の5色のラインがドームへと伸びている。その上には、
〈ARASHI LIVE TOUR 2026 We are ARASHI〉
その日の東京ドームのイベントタイトルが書かれていた。
5月31日をもって活動を終了する国民的アイドル・嵐のファイナルツアー。だが、タイトルには“最後”を表す文言はない。ドームを目指すファンの顔にも悲壮感はなく、これから始まるショーへの期待感に溢れていた。ファンにとっては、「解散」よりも6年ぶりの「再結成」の意味合いが強いのかもしれない。

ドームの周りには開演の午後6時の2時間以上前にもかかわらず、すでに多くのファンが駆け付け、会場外のオーロラビジョンに映るメンバーの出演CMや、歴代のCDジャケットで飾られたモニュメントをカメラに収めていた。
前日のドーム公演を観たという50代女性ファンが声を弾ませる。
「昨日は雨だったので、青空の下で写真を撮り直したくて来ました。大野智くんを10年推しています。久しぶりに見ても、踊りも歌も全く腕が落ちていなくてキレキレだった。開演する前は見ているうちに悲しくなるかなと思ったけど、最後までずっと楽しくて自分でも驚いたくらいです」
松本潤が出演する佐川急便のCMが流れるたびに撮影していた20代男性ファンは、チケットを持っていないという。
「いま、当選した友人に団扇を買いに行ってもらってます。もちろん、推しのマツジュンのです。今日は中には入れなくても、ドームの外から感謝の気持ちを伝えたいです」
老若男女を問わないファンにとって、嵐の最後のコンサートは究極のプラチナチケットとなった。招待される関係者も絞られたという。
「千秋楽の5月31日の東京ドームは、関係者は事務所内部スタッフに限られ、ファンとスタッフだけでラストを迎えるそうです。仕事先の関係者は4月1日、2日の東京ドーム2DAYSに絞られた。テレビはキー局各20人まで。他は嵐の共演者たちが中心でした」(民放社員)

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髙橋大介(ノンフィクションライター)
嵐の魅力は仲の良さ
招待客はバックネット裏最上段の全28室「THE SUITE TOKYO」に案内された。室内にはモニター、ビールサーバーとテーブル、ソファが置かれ、テラス席に出ると生観覧できるVIPルームだ。
1日の公演では、松本が出演した2005年のTBSドラマ「花より男子」で母親を演じた加賀まりこの姿がテラス席の最前列にあった。
加賀本人が語る。
「私は嵐が大好きなんです。コンサートには何度も行かせてもらったけど、今回は目に焼き付けておかないといけない、と。そんな気持ちで行きました。5人は人間としての魅力が一番ですが、踊り、喋り、仲の良さ。私は何一つ不満がないわ」
その日のステージで、最も笑いを誘っていたのは、6年ぶりに表舞台に立ったリーダーの大野智だった。
「週刊誌に活動休止中の写真を撮られて、見た目の変化に〈面影すらない〉と書かれたことに対し、『面影はあるだろ! 面影ないと(本人と)わかんないだろ!』と怒って見せて爆笑を誘っていました。大野くんもマツジュンも太ったという報道がありましたが、しっかり体型を戻して全曲ちゃんと踊れていましたよ」(観覧したファン)
嵐と仕事をともにしたテレビ局社員が語る。
「活動休止があったとはいえ、脱退するメンバーも出ず、26年間続き、最後のけじめとなるコンサートを開くことができたアイドルグループはきわめて稀有です。SMAPは分裂騒動になるだいぶ前から、リーダーの中居正広と木村拓哉の年長2人がピリピリした空気を出し、他の3人がその状況を受け入れてグループとしての仕事をこなしていくという姿だった。一方の嵐は仲の良さが最大の魅力でした。2011年の東日本大震災を機に見直された“絆”という言葉に象徴される時代の空気に合ったグループでした」

メンバーは最年長の大野が45歳、櫻井翔が44歳、相葉雅紀が43歳、二宮和也と松本が42歳。現代人の感覚で言えば、不惑どころか、第二の思春期と呼ばれることもある「中年の危機」に揺れる年頃だろう。ここでアイドルを卒業しようとする5人は、これからどう歩んでいくのか――。
人気だったのは相葉と二宮
嵐が5人によって結成され、CDデビューしたのは1999年。4年前にはフジテレビが独占中継するバレーボールワールドカップに合わせてⅤ6がデビュー。その成功を受けて次の大会の99年に、新しいグループが結成されようとしていた。
ジャニーズ事務所では、創業者のジャニー喜多川が膨大な応募者からジュニアとなる少年を選び、その中からデビューする少年を選ぶ。
5人の中でジュニア時代に人気が高かったのが相葉と二宮。アイスクリームの「pino」(森永乳業)のコマーシャルにメインで出演するなど既に活躍していた。同時期に活動していた元ジュニアが語る。
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