ジャニーズ事務所が設置した専門家による特別チーム。座長は元検事総長の林真琴弁護士だ。6月12日、林氏は記者会見を開き、こう語った。「非常に深刻な問題だと感じている。被害を申告している方々に寄り添い、厳正に検証して、事務所に再発防止策の実行を求めていきたい」。13歳のジャニーズJr.時代に被害を受けた二本樹顕理さん(39)は、5月より繰り返し、「文藝春秋 電子版」などで被害を訴えてきた。だが、いまだジャニーズ事務所からは何の音沙汰もない。一方、永田町ではこの問題が取り沙汰され始めた――。性暴力の実情を長年取材するジャーナリスト・秋山千佳氏の徹底取材第4弾。(連載第4回・前編、後編はこちら)
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実名告白の先にある展望は
ギター教室を運営し、敬虔なクリスチャンであり、夫であり父でもある。そんな39歳の一般男性が、自身の“黒歴史”として半ば伏せてきた「元ジャニーズJr.」の肩書きで顔と名前を広く知られることになった。
「怒涛の1か月でしたけど、まだそれしか経っていないのかという思いもあります。めちゃくちゃ濃密でしたね、良くも悪くも」
二本樹顕理は、記憶をたどるように遠い目をした。
彼はジャニーズJr.として活動していた1996年、ジャニーズ事務所創業者で前社長のジャニー喜多川(2019年死去)からの性被害を受けていた。当時13歳、中学1年生だった。以来半年から1年ほどの間に、10回程度の被害に遭った。
自身の性被害とトラウマの影響を、初めてメディアに実名告発したのが今年5月13日の文藝春秋電子版の記事だ(当連載「ルポ男児の性被害」第3回前編・後編)。3月にBBCがジャニーの性加害について報じて以降、3人目の実名告発者となった。
翌14日には、ジャニーズ事務所・藤島ジュリー景子社長が、前社長であり叔父でもあるジャニーの性加害問題を謝罪する動画と文書を発表。二本樹はすぐにコメントを出した。その後もNHK「クローズアップ現代」をはじめ多くのメディアで証言し、国会でのヒアリングに参加。さらに他の被害者らとともに、児童虐待防止法改正を求める署名活動も始めた。
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