著名人が父親との思い出を回顧します。今回の語り手は、成毛 眞さん(HONZ代表・元日本マイクロソフト社長)です。
成毛という苗字は珍しく、全国でも三千四百人ほどしかいない。一族の出身は千葉県成田市成毛(なるげ)という地域で、千葉胤信の五男が成毛を名乗っていたという。
いっぽうで私の父親である正(ただし)は北海道美深町の出身。明治中期に千葉から北海道でもっとも寒い地域に移住したご先祖さまがいたのだ。
じつはこの父親とは血は繋がっていない。
工学者だった実父は私が二歳の時に病気で亡くなった。そして母親は私が十歳になったころに再婚した。その再婚相手の苗字が成毛だったのだ。
とつぜん父親が現れたのだから困惑したはずなのだが記憶がない。というのも、父親の仕事は札幌市内のレコード販売店店長で休みは火曜日だけ。しかもその後、北海道全域の統括店長にまで昇進したので休みはなくなった。高度成長期のピークだったのだ。
私が東京の大学に進学したのは十八歳だから、父親とは八年間一緒に暮らしただけで、その期間もほとんど会っていないことになる。仲を大きく深めていくのは私が大人になってからだ。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2023年9月号