お父さんとの工作

オヤジとおふくろ

青柳 美扇 書道家
ライフ ライフスタイル

著名人が父親との思い出を回顧します。今回の語り手は、青柳美扇さん(書道家)です。

 うちのお父さんは、家では「神の子」って呼ばれてます。ちょっと怒ったりすることはあるけど、声を荒げるのは一回も見たことありません。家族に対する愛情も本当に深くて、旅行で海に行っても、「外は暑いから車の中で待ってて、準備が出来たら呼ぶから」と、一人でパラソルを立てていました。「お父さんみたいに優しくて、心の広い人っていないよね」と、よく母と話しています。

 だから皆、お父さんのことが大好き。姉が子供を連れて実家に遊びに来たら、もう大変。お父さんの膝の上は特等席で、子供たちは「おじいがいいの!」って全然離れようとしません。私が飼っているチワワのマロちゃんも、飼い主よりお父さんのほうにベッタリです。

青柳美扇氏(事務所提供)

 かく言う私も、小さい頃からお父さんっ子でした。小学校の低学年までは、休日に友達から遊びに誘われても、「お父さんと遊ぶから、行かれへん」と断っていたくらいです。

 私は休日に、お父さんと工作をする時間が大好きでした。もともとNHKの「つくってあそぼ」を見て、工作の得意なワクワクさんに憧れていた。図書館で工作の本を借りてきて、見よう見まねで作り始めました。新聞紙で作る全長二メートルのワニ、牛乳パックを使ったピンホールカメラ、ミニ四駆のモーターを取り付けて自走するおもちゃ……子供には難しいものもありましたが、お父さんはあれこれうるさく言わず、優しく見守ってくれていた。

 私が壁にぶつかった時だけ、「何がダメだったんだろう」と一緒に考えてくれたり、「本にはこう書いてあるけど、こっちの方法でやってみようか」とアドバイスしてくれました。

 私は現在、書道家として作品を作り出すことを仕事にしていますが、こうした道に進むことになったのも、お父さんのおかげ。書道以外に、立体作品を制作することもありますが、迷った時はお父さんに相談して、昔のように形になるまで見守ってもらっている。

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source : 文藝春秋 2023年8月号

genre : ライフ ライフスタイル