驚くべき減量効果。本当に副作用はないのか
私は長年、糖尿病の治療にあたっていますが、正直ここまで効果のある薬が登場するとは思っていませんでした。日本では販売から半年ほどしか経っていませんが、これから、この薬を希望する患者が増えるでしょう。
特に、ご飯、パン、麺類など糖質を食べるのを止められず、痩せられない「糖質中毒」の糖尿病患者にとって“福音”かもしれません。というのも、この薬を飲むと劇的に痩せるからです。すでにアメリカでは、肥満の治療薬としても承認されています。近い将来、糖尿病以外の治療にも使われ、社会生活にも広く影響を与えることが予想されます。
こう語るのは、AGE牧田クリニック院長で糖尿病専門医の牧田善二氏。これまでに延べ20万人以上の糖尿病患者を診てきた牧田氏の言う「この薬」とは、「マンジャロ(一般名:チルゼパチド)」。米製薬大手のイーライリリー・アンド・カンパニーが開発した、「GIP/GLP–1受容体作動薬」と呼ばれる糖尿病治療薬だ。
日本では2023年4月に販売が開始されたばかり。糖尿病の治療薬は、同種も含めて、これまでも多数開発されているが、なぜ社会生活に影響を及ぼすとまでいうのか。
マンジャロについて解説する前に、糖尿病という病気と、これまでの治療薬について説明しましょう。
糖尿病は、1型と2型の大きく2つのタイプに分けられます。1型はウイルスなどが原因で発症し、血糖値を一定に保つ働きを持つホルモン「インスリン」が全く分泌されなくなってしまう病気です。
一方の2型糖尿病は、遺伝的な要因に運動不足や食べ過ぎなどの生活習慣が加わって発症すると考えられ、糖尿病患者の実に90%以上が2型糖尿病です。2型の場合、インスリンは分泌されますが、通常よりも分泌量が少なかったり、本来分泌されるべきタイミングに分泌されなかったりする。そのため血糖値を抑えることができず、食後の高血糖状態が続いてしまうのです。
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source : 文藝春秋 2024年1月号