新薬「ドナネマブ」の開発者が語る治療の未来
今年9月までに、アルツハイマー病治療薬「ドナネマブ」の製造販売に向けた厚労省への承認申請が完了した。審査の結果は来年出る見込みだ。新たな薬はどのようにして生まれたのか。またこの先、さらなる「夢の薬」は登場するのか。「ドナネマブ」を開発した米イーライリリー・アンド・カンパニー(以下リリー)最高科学・医学責任者であるダニエル・スコブロンスキー氏に話を聞いた。
――ドナネマブの治験では、探索的試験である第二相試験の結果が出てから最後の検証のステップである第三相試験の終了まで、異例のスピードで進んだそうですね。
第二相試験のドナネマブ単体の結果で大変大きな有効性が示されたためです。その頃レカネマブ(日米で今年承認されたアルツハイマー病治療薬)にも非常にポジティブな結果が出ていましたので、当事者の方に希望が生まれ、治験に積極的に参加していただけるようになったことで迅速に進められました。この薬の第三相試験のデータが出て、有効性を裏付けるものだった時は、私自身信じられないような気持ちでした。アルツハイマー病の治療薬に関しては、これまであまりにたくさんの失敗がありましたから。
――「失敗」とは自社だけでなく他社も含んでいますか。
残念なことに多くの企業が同様でした。そのなかでリリーは、おそらく最もアルツハイマー病治療薬に取り組んできた企業です。他の企業は1つの薬だけに挑戦してうまくいかなければ諦めるということも多かったのですが、我々はアミロイドβを減らすための4種類の薬に挑んで、3回失敗しました。それらの失敗から毎回何かしら学びを得たことが、最終的に4つ目のドナネマブが成功した大きな要因となりました。
――ドナネマブの第二相試験では、結果的には3つの失敗のうちの1つとなった薬とのコンビネーションセラピー(併用療法)にも挑戦されていたそうですね。
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source : 文藝春秋 2023年12月号