認知症治療への挑戦状 治療薬はどこまで進化する

アルツハイマー治療薬は、いかにして開発されたのか

岩坪 威 東京大学教授、国立精神・神経医療研究センター理事
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第一線の研究者がアルツハイマー治療薬の“総力戦”を語る

 日本の製薬会社エーザイが開発したアルツハイマー病の治療薬「レカネマブ」の製造販売が、日米で承認されました。年末には日本での薬価が決まり、保険診療で使えるようになる見通しです。

 アルツハイマー病はこれまで有効な治療法がありませんでした。しかし、ついに承認という「ゴール」に達して、患者さんの元に届けられる画期的な治療薬が出てきたのです。

 さらにもう一つ、ゴールに迫っている薬があります。米製薬大手イーライリリー・アンド・カンパニーの治療薬「ドナネマブ」です。今年、製造販売の承認申請を日米で完了しました。

 レカネマブとドナネマブは、どちらも早期アルツハイマー病(軽度認知障害から軽症認知症)の患者さんを対象とした薬です。発症の引き金となるタンパク質の除去を狙い、人工的に作った抗体を点滴で投与する「抗体薬」という点も共通しています(語尾の「マブ」は抗体薬を意味しています)。

 現時点でわかっている効き目も似たところがあり、これまでの症状の進行速度が時速100キロだったとしたら、平均で70キロそこそこに減速できるというイメージです。病気の悪化を年単位で遅らせることができる可能性があります。

 このように大枠では類似しているとはいえ、2つの薬の抗体や、患者さんにとってのメリットやリスクには少々違いがあります。詳しくは後述します。

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source : 文藝春秋 2023年12月号

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