全身にある関節の中で、誰もが、加齢とともに劣化する関節が「膝」です。現在国内で、潜在患者を含めて膝に何らかの障害を持つ人の数は推定で3000万人とも言われており、膝の障害はまさに国民病と言える状況なのです。

そもそも膝は、人間が立って生活する以上は、つねにその体重の大半を受け止めている関節。脛骨に大腿骨が乗っていて、その周囲を内側と外側、さらに前十字と後十字の4つの靭帯、そして周囲の筋肉によって支えられて成り立つ構造です。
膝のアンチエイジングという視点で見たときに、大きなポイントとなるのが、太ももの前側の筋肉「大腿四頭筋」です。
加齢に伴う膝の劣化は、統計的に見ると男性より女性のほうがやや多いという特徴があります。これは太ももの裏側の筋肉は、加齢によってあまり劣化したり弱体化したりしない傾向があるのに対して、大腿四頭筋は40歳を過ぎた頃から筋力低下が始まり、特に女性は閉経を境に急激にその衰えが進行することが原因と見られます。
これは閉経によって女性ホルモン「エストロゲン」が減少することによるもので、筋力低下だけでなく骨や軟骨の代謝も落ちていくこと、さらには肥満の影響なども重なって、膝の機能は加速度的に低下していくことが指摘されています。
女性ホルモンの減少は他にも骨粗鬆症を招きます。つまり骨自体の老化に周囲の筋肉の減少が重なり、膝の関節への負担が増すことによって、膝そのものが弱くなっていくのです。
また、ここで知っておいてほしいのが、脛骨と大腿骨の接する面にある「軟骨」の存在です。この軟骨はアイススケートのリンク面よりも摩擦係数が低い、つまり「滑りやすい」構造で、そのために私たちは膝の曲げ伸ばしに何のストレスも感じることが無いのです。
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