ジャニー喜多川氏による性虐待の全体像はまだ明らかになっていない。
被害者が膨大な数に及んだのは、60年以上にわたり加害が放置されたためだ。外部専門家による再発防止特別チームは、放置の背景にある2つの問題を指摘している。
ひとつは、同族経営の問題だ。ジャニー喜多川氏と姉・メリー氏が経営権を独占し、ガバナンスは効かず、幹部は被害の隠蔽に加担した。もうひとつは、報道機関が沈黙してきたことだ。ジャニーズ事務所のタレントは視聴率や販売部数を稼げる圧倒的に強いコンテンツだった。報道機関は子どもの権利より自社の利益を優先したのだ。
だが、子どもの権利をないがしろにしているのは芸能界だけではない。
ある児童養護施設で性虐待が行われているという情報に接したのは、英BBCによってジャニーズ報道が再燃するよりも前、2022年12月のことだった。
児童養護施設は熊本市にあり、加害が疑われる職員は理事長の息子(30代)だという。この施設は熊本市に実在するが、本稿では施設名を記載しない。特定による被害者への二次被害を避けるためだ。
そもそも児童養護施設とは、保護者が何らかの理由で育てられない家庭の子どもが生活する場だ。全国約600の施設のほとんどが社会福祉法人による運営で、運営費は国と地方自治体によって賄われている。
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