着こなしや身につけているものが人となりを表す。「装い」を切り口に、戦中戦後を生き、表現者として活躍した女性の人物像に迫った『装いの翼』は読み応えある1冊です。

　いわさきちひろ、茨木のり子、岡上淑子。三人三様の生きざまが瑞々しく描かれます。作品に映し出される研ぎ澄まされた感性や美意識の、その奥にある土台の部分――身内との交歓や、親や伴侶との別れ、潰え去る夢……綿密な取材のもと、多彩なエピソードが衣服の豊かな描写とともに立ちのぼる。自身も洋裁を趣味にする著者（新聞記者）が、敬意を持ち真摯にそれぞれの人生に寄り添っていく姿勢が胸を打ちました。

『生態学講義』は、人間中心主義になりがちな私たちの生活に「待った」をかける本。ユーモアたっぷり、平易な語り口で生き物と環境のこと、多様性の重要性について説いてくれます。

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