背景で輝きが変わる

松田 素子 絵本編集者

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エンタメ 読書

『もしも君の町がガザだったら』高橋真樹/ポプラ社

『歩くという哲学』フレデリック・グロ/山と溪谷社

『ケアと編集』白石正明/岩波新書

『もしも君の町がガザだったら』を読みながら、私は何度も「知らなかった……」と呟いた。なぜ今、パレスチナとイスラエルがあの状態にあるのか。情報社会に生きる私たちは、すぐにいろんなことを検索する。そしてわかったつもりになる。でも本当は知らない。なぜそれが起こっているのかを。それが自分と無関係ではないということを――。知らないということはとても怖いことだ。一人一人を見る視点、自分だったらと考える力を私たちはどこまで持っているだろう。いくら想像しても、著者が言うように「空爆で体がバラバラになっても自分の遺体だとわかるように、マジックで自分の腕に名前を書いた9歳の少年の気持ち」をわかることは、恐らくできない。でも、想像しなくてはと強く思う。

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source : 文藝春秋 2026年1月号

genre : エンタメ 読書