毒気を含んだユーモアたっぷりの一冊
「座右の銘をお持ちでしょうか?」
本書はこんな問いかけから始まります。登場するのはよりすぐりの30本。タイトルに「効きまっせ!」とあるように大阪弁がぽんぽん繰り出される陽気な一冊。
インパクトがあるのは「こんな座右の銘は好かん!」とだめ出しをする第4幕。ここには「しっかり頑張れよ系の言葉」が次々挙げられています。
《若い時の苦労は買ってでもせよ》《努力は人を裏切らない》《石の上にも三年》等々に対して、先生は大阪弁で憤る。「苦労、努力、我慢を好きな人っていてますやろか。それってマゾですやん。それに、この三つのおかげで今の自分があるとか豪語するようなおっちゃんが近くにいてたらイヤなことないですか?」。確かに!
毒気を含んだユーモアをたっぷり交えつつ、努力が報われ過ぎる社会は息苦しい、努力比べばっかりさせられたら窮屈な世の中になるんじゃないか、と率直に綴っておられます。
一方、ご自身は本庶佑先生の研究室に入り、2年以上データが取れずやめようと思ったことがある、いい論文が1本書けたら楽になると思っていたけれど、いい仕事をし(てしまっ)たらそれが新たな評価軸になりさらに頑張らなきゃいけないと気づいた、と語る。ある日、見守っていてくれた別の先生から《しんどいのは君だけと違うんや》。みんなしんどい、きっと本庶先生だってと言ってくれた言葉で、気が楽になった、と。
踏ん張れる気力体力をいかに持続させるのかが研究者の課題で、あなたも私たちも同じところにいるんだよということでしょう。ひとりの研究者として認めてくれている気持ちのこもった言葉ですね。
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source : 文藝春秋 2024年7月号