睡眠休養感を高める

国内最高峰の研究所から最新アドバイス

吉池 卓也 国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部 室長
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健康長寿の秘訣は睡眠時間の長さではない (構成 石井謙一郎)

シニア世代になると寝られるのは6時間

「いくら寝ても、まだ眠い」「眠くて朝起きられない」。誰しも若い頃は、仕事や遊びに忙しくて、いつも「寝不足」です。休日は、ふだんよりも朝寝坊して「寝だめ」をする人が多いことでしょう。

 それが歳を取るにつれて、「布団に入っても、なかなか寝付けない」「夜中に目が覚める」「夜明け前に起きてしまう」と変わっていく。つまり、「不眠」です。さらに「いつもより長く寝たはずなのに、ぜんぜん疲れが取れない」という声も聞かれるようになります。

 これは、加齢に伴って健康維持に必要な睡眠の特徴が変わっていくために起きる変化です。あまり知られていませんが、人間が生理的に眠れる時間は、年齢を重ねるごとに短くなっていきます。睡眠時間が短くなっても、きちんと眠れていれば、朝起きたときに睡眠で休養が取れた感覚(睡眠休養感)があり、健康には問題ありません。

 25歳では7時間以上眠れますが、その後、20歳ごとに、平均的な睡眠時間が約30分ずつ短くなっていく。45歳で6時間半、65歳だと6時間、85歳で5時間半ほどです。つまり、シニア世代(65歳以上)になると、若いときほど長い睡眠時間を確保しなくても大丈夫なのです。

加齢に伴う睡眠時間の変化を説明する吉池室長 Ⓒ文藝春秋

「良い睡眠」とは何か──。

 これまで睡眠時間の長さばかりが重視されてきたが、朝起きたときに睡眠で体が休まったと感じる「睡眠休養感」が、健康状態と大きく関わっていることが、最近わかってきた。その点を研究で明らかにした吉池卓也氏が、年齢とともに変わっていく適切な睡眠時間と睡眠の質の関係について、詳しく解説する。

 一般的に、成人の睡眠時間は7〜8時間が必要だと言われますが、決して一概には言えません。大事なのは、睡眠休養感のある睡眠かどうかです。前述したように、実際の睡眠時間は年齢で変わりますし、個人差も大きいのです。

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source : 文藝春秋 2025年2月号

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