世界的睡眠研究者の熟睡法

上田 泰己 東京大学教授
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研究で行き詰まったら「潔く寝る」

 人間は何のために眠るのか?

 そう聞かれたら、「疲れた脳と体を休ませるため」と答える方が多いのではないでしょうか。たしかに、その答えは間違いではありません。

 ところが、睡眠は単なる休息の時間ではなく、人間の成長にとって欠かせないアクティブな活動であることが、近年の研究で明らかになりつつあります。

 これまでの睡眠研究では、主に脳波を観察することで、謎をひもとこうとしてきました。脳は大量の情報をやりとりする、無数の神経細胞で構成されています。脳波を測定すると、覚醒時には神経細胞が活発になり、眠るとおとなしくなります。これを見ると、たしかに睡眠とは脳の休み時間であるかのようです。

 しかし、科学技術の進歩により、最近は神経細胞一つひとつの活動を観察できるようになりました。すると、睡眠中の神経細胞は、一瞬だけ強く活性化して一休み、また強く活性化して一休み、という活動を1秒に1回くらいのリズムで繰り返していることが、わかってきたのです。

 神経細胞の一日の活動量を平均してみると、起きている時のほうが睡眠時より多くて活発に見えます。ところが、睡眠時に一瞬強く活性化した神経細胞の活動性は、起きている時よりも強いことが明らかになりました。

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source : 文藝春秋 2024年9月号

genre : ライフ サイエンス ライフスタイル 医療 ヘルス