新しいタイプの睡眠薬は副作用も依存性も少ない
睡眠障害を専門とする医師の立場から言うと、眠れない日が週に3日あったら、迷わずに病院を受診してください。1日、2日ならいいですが、週に半分近く眠れず、もんもんと悩んでいるうちに、さらに症状が悪化してしまいます。その前に病院に来ていただいた方が、悩みは早く解決します。
一般の方は睡眠薬に対して、「手を出したらやめられなくなる」とか、「副作用が怖い」といったマイナスイメージが、いまだに強いようです。しかし、新しいタイプが登場した2010年代以降、睡眠薬治療は劇的に変わりました。医療機関で処方される新しい睡眠薬は、副作用が少なく、高い効果を発揮します。
ところが、諸外国と比べて日本人は、医師に相談するのをためらって、自己治療を試す傾向が強いようです。
医師の処方なしにドラッグストアで買える医薬品を、以前は市販薬と呼んでいましたが、いまはOTC医薬品と言います。OTCとはオーバー・ザ・カウンターの略で、カウンター越しに買えるという意味です。睡眠改善薬ですと、ドリエルが有名でしょう。飲んでいる方も多いと思いますが、こうした市販の薬を飲むくらいなら、すぐ受診していただいたほうが解決は早いと思います。
実は市販されている睡眠改善薬の成分は、ドリエルも含め、すべてジフェンヒドラミンという抗ヒスタミン薬です。これは花粉症などアレルギーに使われる薬で、眠くなる副作用を利用しています。しかも、抗ヒスタミン薬としては第1世代の古い薬ですから、今では医療機関で処方されることも少なくなりました。しかし、ドラッグストアで、「眠れないので薬をください」と言うと、このタイプしか売っていないのが現状です。
とくに、効き目が次の日に残ってしまいやすい点には、注意すべきです。飲んでから12時間後でも脳内に高いレベルで残るので、翌日も眠気をひきずってしまいます。加えて、すぐに耐性ができてしまう。服用4日目にはプラセボ薬(偽薬)と差がなくなったと報告している論文があるほどです。
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