不眠はフィギュアの演技に直結した

私の「不眠」解消法

鈴木 明子 プロフィギュアスケーター
ライフ スポーツ ヘルス

「氷上の花」として観客を魅了したプロフィギュアスケーターの鈴木明子さん(38)。2010年のバンクーバー五輪と14年のソチ五輪で入賞を果たしたほどの実力者だが、過去には睡眠障害に苦しめられたことがあった。その克服法と現在の快眠習慣を語ってもらった。

 私は睡眠が得意ではないと言うと変な表現ですが、どこでも寝られるわけではないですし、精神的に左右されると睡眠不足になってしまう体質なんです。

 最も苦しかったのは、ソチ五輪の代表選考会が迫っていた27歳のころでした。常に緊張と不安に苛まれ、当時はぐっすり眠った記憶がほとんどありません。睡眠不足の状態でスケートに臨むと平衡感覚が失われやすく、ジャンプ回転をすれば、予期せぬ方向に跳んで着地に失敗してしまう。私は膝から落ちて怪我をしたこともありました。

 ハードな練習をしてクタクタに疲れているはずなのに、ベッドで横になっても朝まで眠れない。疲労が溜まって満足な練習ができないうえに、コーチにも𠮟られ、「このままでは、代表になれない……」と不安が募る悪循環に陥っていました。もはや限界だったと思います。

 病院に行って抗不安薬を処方してもらったのですが、最初は「オリンピックを目指す選手が、薬に頼るわけにはいかない」と抵抗感がありました。今、考えると謎のスポーツ根性ですが(笑)。ただ、先生から「あなたがするべきは睡眠をとって練習を積み、素晴らしいパフォーマンスを披露することだ」と言われて納得したんです。

 もちろんドーピングに引っ掛かる薬は使えませんが、「良いパフォーマンスのためには薬に頼るのも必要なことだ」と割り切って考えることで少し気が楽になり、睡眠もとれるようになりました。

 実は大学生だった10代のころにも、睡眠不足に苦しんだことがありました。当時は仙台で1人暮らしを始め、大学の授業とフィギュアの練習に励む日々を送っていました。ただ、「親元を離れて駄目になったと思われたくない」というプレッシャーから、食事管理がエスカレートして、逆に摂食障害を患ってしまったんです。体重が2カ月で10キロも落ち、最終的には32キロまで減りました。

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source : 文藝春秋 2024年2月号

genre : ライフ スポーツ ヘルス