戦争の行方は欧米、そして日本の手に委ねられている
小泉 ロシアがウクライナに侵攻してから2月で丸2年が経ちます。まず現状を総括しましょう。
去年の6月から始まったウクライナ軍の反転攻勢は失敗に終わりました。戦線は大きく分けて2つ。南部戦線のザポリージャ州西部と、東部戦線のドネツク州アウディウカ周辺です。現在はロシア軍が東部戦線で大攻勢をかけており、ウクライナ軍はそちらの防衛線に戦力を集めなくてはいけなくなっています。南部戦線で戦うために西側の最新鋭装備をしていた旅団も、東部の防御に回されてしまっています。
反転攻勢の始まった昨年初夏は、ロシアの民間軍事会社による武装蜂起「ワグネルの乱」でロシア軍のグダグダぶりが顕わになった直後だったため一部では楽観論もありましたが、結局、この反転攻勢は頓挫してしまいました。
長谷川 数カ月にわたって戦線は膠着状態にあります。「このままではウクライナは負ける」という悲観論も出て来ています。というのも、今年が世界的な“選挙イヤー”だからです。今年3月にはロシア大統領選が行われ、プーチン氏が続投することが確実視されていますが、一方で11月には米国大統領選が控えており、現時点では共和党の候補者争いでトランプ氏が大きくリードしています。米上院議会ではウクライナへの軍事支援を含む緊急予算が野党・共和党の反対に遭って審議に進めず、武器支援に滞りが見られる。ゼレンスキー大統領は昨年9月に続いて12月にワシントンを再び訪れ、追加支援の必要性を訴えていますが、やはりこの戦争の展望は欧米からの支援次第だという冷酷な現実が見えてきています。
廣瀬 同月にはウクライナのEU加盟交渉も開始されましたが、今年はウクライナ戦争も国際秩序も動く1年になることは間違いないです。
東野 昨年5月にはゼレンスキー大統領が広島サミットに登場するなど、国際的なウクライナ支援の機運は高まったように思います。しかし軍事的には、昨年を通して、ウクライナは一貫して苦戦し続けました。
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