国民的スター・坂本九(1941〜1985)は昭和36(1961)年の『上を向いて歩こう』をはじめ、数多くのヒット曲を世に送り出した。長女で歌手の大島花子氏が、在りし日の父を語る。
仕事が忙しく家にいる時間が限られていたはずなのに、父との思い出が楽しかったことばかりというのは、一緒の時はしっかりと子供と向き合ってくれていたからなのだな、と感じます。遊びだけでなく、夏休みの自由研究の調べ物に付き合ってくれたことなどもありました。
父と一緒に外出できるわたしにとっての貴重な時間にファンの方にサインを求められることもあり、子供心に父をとられてしまうような寂しさを感じたこともあります。でも今思えば、ファンの方をどれだけ大切にしていたかを肌で感じることができた貴重な経験だったとも言えます。
学校行事などにも、時間が許す限り参加してくれて、運動会の父母競技などにも積極的に、楽しみながら参加するような父でした。
父はマメな性格だったように思います。遅くに帰宅しても、翌朝見られるようにと子供たちにちょっとしたメモ書きを残してくれるなど、交換日記のような形でコミュニケーションをとっていた時期もありました。
例えば、ウサギが飼いたい! とわたしが書くと、それに対しての返事を書いてくれます。
そんなときは、「いままで飼ってきた金魚や亀、ちゃんと世話はしてきましたか? 生き物を飼うということは簡単なことではないんだよ」といったように、対話をしてくれる父でした。もちろん大人になって読み返して気づいたことですが!
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