「ガチョーン!」で、昭和の茶の間を沸かせた谷啓(1932〜2010)は、“ハナ肇とクレージーキャッツ”の名トロンボーン奏者にして、コメディアンでもあった。その素顔を晩年まで付き合ったなべおさみ氏が語った。
「お前な、一寸は俺の面倒もみろよ!」
化粧を落とした半端な顔で、師匠のハナ肇が本気で怒って声を荒げていた。本来ならサッと熱い蒸しタオルが出てこなくてはならないはずだ。私ときたら谷啓さんとギャグ作りに夢中になってたのだ。
「お前な、俺の付き人だろう、谷啓の付き人じゃないよな!」
口には出さねど確かに顔が語っていた。こんな失敗は一度や二度ではなかった、いつだって谷さんとつるんでいてのミスでした。谷さんと、本当に来る日も来る日も遊びを考えては楽しんでいたあの頃でした。
この遊びの会話から「いいね、いいね、それ、もう一度やって見せろや!」と、乗せまくるのが青島幸男さんで、その都度、私らは今考えたギャグを乗りに乗って演じるのでした。ある日、『シャボン玉ホリデー』の台本を受けとると、そこには先週の二人の遊びがコントになって印刷されておりました。
谷啓となべ、汽車の席
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