れいわ新選組・山本太郎の研究

トリックスターか、令和日本の革命児か

常井 健一 ノンフィクションライター
ニュース 政治
「見事な芝居を見るようでした」自民党の選対委員長・甘利明もそう評価する。カンパ、ボランティア、トークライヴ。選挙戦で駆け巡る山本の姿は、若き日の“元総理”を彷彿とさせるものだった──。

エイプリルフールの結党

 威張る自民党。

 内紛続きの野党第1党。

 乱立するタレント候補。

 長引く梅雨空の下で行われた参院選では、既成政党に失望した有権者を取り込む新手の勢力が現れた。

 合言葉は「カンパとボランティア」。異色の全国区候補を応援するために手弁当で集った学生や主婦は、駅前にテントを張り、選挙資金を街頭で募った。数時間にも及ぶトークライヴを開き、通行人を巻き込んだ。

山本太郎 共同
 

 そして投票日、素人集団に祀り上げられた候補者は190万票を集めた。並み居る大政党のタレント候補を凌ぎ、全国区を2位で突破した。

〈唾棄すべき政治を許してきた責任の一端は私たち市民一人一人にある〉

 陣営を率いた青年はゲリラ的な運動に込めた思いをこう振り返った。朝日ジャーナルに寄せた論文の表題は「否定論理からは何も生まれない」。筆者は2019年の山本太郎ではない。1976年の菅直人だ。

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source : 文藝春秋 2019年10月号

genre : ニュース 政治