情報漏えいやシステム停止などの事態を引き起こすサイバー攻撃の脅威が深刻化している。高度化・巧妙化する攻撃に対し、防御側のセキュリティ対策はどうあるべきか。このカンファレンスでは、日本セキュリティ大賞2024セキュリティ対策・運用部門大賞を受賞した日本電気(NEC)が、社員意識、企業文化の変革も含めたDXの取り組みを報告したほか、サイバーセキュリティ領域で日本最高レベルの技術を持つ「トップガン」と称される名和利男氏が、最新のサイバー攻撃の動向を解説。取引先の中堅中小企業や、クラウドサービス事業者など、大企業の防御の弱点になるサプライチェーンを狙った攻撃への備えについて考察した。
■オープニング
株式会社アシュアード
代表取締役社長
大森 厚志氏
転職サイトを運営するビズリーチ社を中核とするVisionalグループは、業務で利用するクラウドサービスや、自社が提供するサービスのセキュリティ状況を適切に評価した情報がないことを課題ととらえていた。これを解決するために企画したのが、クラウドサービスのセキュリティリスクを第三者視点で評価した情報を提供するプラットフォーム「Assured(アシュアード)」だ。この事業を担うグループ会社、アシュアードを率いる大森厚志氏は同社の事業内容を「企業信用調査のサイバーセキュリティ版のようなサービス。スタッフが直接、企業にヒアリングも行っていて、他にはない情報を提供している」と説明。「クラウドサービスも含めたサプライチェーンが抱えるセキュリティ課題の解決には、企業・業界をまたいだ連携が必要になる。本カンファレンスの講演と交流会が企業同士を結ぶ場となれば」とあいさつした。
■特別講演
生成AI時代の到来を見据えたNECの企業変革
~経営アジェンダとしてのDXとサイバーセキュリティ~
日本電気株式会社
執行役Corporate EVP兼CIO兼コーポレートIT・デジタル部門長
小玉 浩氏
長年にわたり企業の情報システム開発に従事し、多数の大型案件のプロジェクトマネジメントを実践。その後、企業向けビジネス部門責任者としてエンタープライズビジネスユニット長、デジタルビジネスプラットフォームユニット長を経て、現職。全社横断の社内デジタル推進の責任者として、これまでの経験を活かし、経営・業務・IT一体のコーポレート・トランスフォーメーションをリードしている。
2012年から構造改革に着手した日本電気(NEC)は、目標未達によって2018中期経営計画を取り下げるなど苦戦していた。そこで経営陣はコミットメントを示し、19年にはDXアジェンダを策定。さらに従業員エンゲージメントスコアをグローバル上位レベルの50%に引き上げることなどを目標に掲げ、企業カルチャーの変革に取り組んだ。「DXは単なるデジタル化ではない。デジタルを使って本質的な変革を実行して、変わり続けるカルチャーをDNAとして根付かせることだと考えている」(小玉浩氏)。
その一環として挑んだのが全社エクスペリエンスの変革だ。・・・
カンファレンスレポートの続き「完全版PDFダウンロード」はこちらから
source : 文藝春秋 メディア事業局