母の溺愛

第151回

中野 京子 作家・ドイツ文学者
エンタメ アート

一枚の名画をのぞき込んでみると……

 

✓見えてきたのは「目はぱっちりと色白で」

子供は顔が小さいので、相対的に目がとても大きく見える。『人形』という文部省唱歌には、そんな幼児の愛らしさがよく表現されている。目はぱっちり、色白、小さな口元。まさにこの絵の女の子だ。人間だけではなく、哺乳類はどれも仔の見た目がかわいいが、それは親の愛情を搔き立てて育児に邁進させるための天の配剤、つまりは遺伝子の為せる業、との説がある。納得!

 


 

母の溺愛

『マダム・ヴィジェ=ルブランと娘』

1786年、油彩、105×84cm、ルーヴル美術館 / 写真提供 Bridgeman Images/amanaimages

 若く美しい母が、我が子をやさしく抱きしめて微笑む。可愛くて可愛くて仕方がないという気持ちが伝わり、見る者をも幸せにする。実際、彼女は一人娘を溺愛し続けた。

 彼女の名はヴィジェ=ルブラン。美貌と才能に恵まれ、10代でもう人気肖像画家となり、22歳にして王妃マリー・アントワネットを描く栄誉を得るや、たちまち気に入られ、王妃付き画家の地位も得た。

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source : 文藝春秋 2025年3月号

genre : エンタメ アート