一枚の名画をのぞき込んでみると……
✓見えてきたのは「オリーブ」
古代ギリシャでは、紀元前700年頃からオリーブ栽培が始まったという。この木は知恵の女神アテナの聖木であり、枝は古代における平和の象徴、また葉冠は競技の勝者に与えられた(今は月桂冠のほうが有名だが)。キリスト教においては「ノアの方舟」におけるオリーブの小枝のエピソードがよく知られている。画中で小さな手がもつ、青々としたオリーブの葉がそれだが、老いたノアの手ではない。ではこの手の主は誰?
ペットの白鳩?
『方舟への鳩の帰還』
1851年、油彩、88.2×54.9cm、アシュモリアン美術館 / 写真提供 Bridgeman Images/amanaimages
鳩の帰巣本能は、なんと古代エジプト時代から知られていたという。当然ノアも知っていたわけだ。
旧約聖書の「創世記」の物語である。
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source : 文藝春秋 2025年1月号